山梨県身延町(みのぶちょう)・本栖湖(もとすこ)の南にあるなだらかな裾野の山「大室山(おおむろやま・標高1,468m)」。付近の竜ヶ岳やパノラマ台から富士山を眺めたとき、まるで富士山に抱かれているように見えることから「子抱富士(こだきふじ)」の愛称で親しまれている山だ。
富士山西側の山々の山頂から目にする機会の多い大室山だが、実際にそこに登ったことのあるハイカーは少数なのではないだろうか。
今回は、独特の自然が残る青木ヶ原樹海を進み、富士山に抱かれし“子抱富士”山頂からの絶景を紹介したい。
■“子抱富士” 大室山ハイキングコース

●標準コースタイム
【大室山駐車場から大室山ピストンコース】所要時間
大室山駐車場(0:00)→ 富士風穴(0:10)→ 大室山登山口(0:45)→ 大室山(1:20)→ 展望スポット(1:30)→大室風穴(2:15)→大室山駐車場(3:00)
歩行距離:約6.7km
累積標高差:登り 406m、下り 410m
合計所要時間:3時間
■青木ヶ原樹海を抜け、子抱富士で有名な大室山山頂へ

●溶岩でできた富士風穴を見学
県道710号線沿いの駐車場から出発する。車両通行止めの柵が立てられているが、歩行は問題ない。背の高い木々が多く、あたりの景色はうっそうとしているが、道はわかりやすくなだらかなので心配無用だ。
しばらく樹海の中を歩いていくと「天然記念物・富士風穴(ふじふうけつ)」の石碑が出現する。洞穴内を見学できるのはツアー客に限られるが、富士山の火山活動が形成した貴重な溶岩洞穴の大穴を寄り道して覗いていこう。
●大室山登山口から子抱富士の山頂へ
富士風穴を見学したら、また森の中を緩やかに登っていく。駐車場から45分ほどで大室山山頂に至る登山道の分岐点だ。案内表示があるので迷う心配はないだろう。
ここから山頂までの標高差は約200m。少しずつ傾斜が増してくるので、ペースを上げすぎずにゆっくり進もう。辺りは変わらず木々に覆われているが、開けた場所に出られたときには、爽快な景色を眺めることができる。
登山道に入ってからおよそ40分で、大室山山頂に到着。富士山西側に位置する竜ヶ岳やパノラマ台などから目にしてきた「子抱富士・大室山」の頂に立つことができた。ちなみに大室山山頂も、登山道と同じく周囲を木々に覆われていて、景色を楽しむことはできない。
●大室山山頂から足を伸ばし、展望スポットへ!
展望なしの大室山頂から少し南側へ足を延ばすと「大室山南峰」というもう1つのピークにたどり着く。こちらが展望スポットとなっており、裾野まではっきりと見える富士山を堪能できる。
南峰の標高は1,447mと少し下がるが、展望はこちらに軍配が上がる。しっかりと踏み跡のある歩きやすい道で、アップダウンも少ないなだらかな道だ。せっかくここまで来たのに、南峰の絶景、まさしく富士山に抱かれるような絶景を見ずに下山してしまうのはもったいない。ぜひ足を運んでほしい。
■富士の樹海と富士山展望の山「大室山」
普段は他の山の山頂から富士山とセットで見ることの多い大室山だが、大室山からはその距離の近さから、とても大きな富士山が眺められる。
幻想的な富士の麓の樹林帯と、その先に待つ富士山の雄大な姿が楽しめる大室山登山。この夏の高山の足慣らしに出かけてみてはいかがだろうか。
