■謎解き! ライズの釣り

銀色に光るアマゴ。鳥に掴まれた跡がわずかに残っていました

 さて、どうしたものかと考えあぐねます。アマゴたちのお気に召しそうなフライを流すのですが、なかなか快く飛び出してくれません。ようやく水面を割ってもフッキングしないか、即座に外れてしまいます。ステージを変え、水面直下を流してみても反応は変わりません。

 こうなってくると、ついムキになってしまうもの。何が何でも「ドライフライで釣り上げたい!」と、スイッチが入ってしまいました。目を凝らさないと見えないくらい、かなり小さなフライを流し、足元付近でピックアップしようとした瞬間、流れの中から「ガボッ」と魚が飛び出しました。

 かなり力強い引きです。少々無様に慌てながらもなんとかネットイン。一瞬「え、ニジマス?」と思ってしまったほど銀ピカなうえ、見る角度によっては体側に紅色が浮き出ています。写真を撮っている間にそのまま元気に流れに帰っていきました。ストマックポンプを使用する間もありませんでした……。

 ライズのない筋でも、フライを流すとゆっくりと浮上してきてはUターンしていく姿が見えます。このポイントに目が慣れてきたので、水底でゆらめく魚影も見えてきます。尺には届かないけど、かなりプロポーションのいいアマゴを見つけました。

 やがて風が落ち着いてくると、コカゲロウ(厳密な種類までは同定できず)が水面を漂い出しました。目で追っていると、勢いよく水面が割れて飲み込まれました! チャンスタイムの到来です! 答えがわかれば簡単です。フライボックスから該当しそうなフライをつまみ出しました。

コカゲロウのフライを素直に咥えてくれたアマゴ。ほんのりと薄紅色が感じられるでしょうか? 

 3投ほどした後、果たして体側がほんのりと紅色に染まり、桜のような儚げな朱点を散りばめた魚がネットに収まりました。サイズや見た目から3年目を迎えているのでしょうか。この春の桜が最後になるかもしれませんね……。

トラウト豆知識『ヤマメとアマゴの棲み分けと見分け方』

千曲川支流のヤマメ。パーマーク(体側の斑紋)が特徴的だが、パーマーク(体側の斑紋)が特徴的だが、成長に伴い薄くなる場合もある。
天竜川支流で釣れたアマゴ。パーマークの上に散りばめられた朱点が美しい

 ヤマメ(サクラマス)とアマゴ(サツキマス)は非常に似ていますが、一般的にアマゴの体側には朱点が入っていることで見分けることができます。ヤマメは「日本海側に注ぐ河川」と「“東日本”の太平洋側に注ぐ河川」に生息し、アマゴは「“西日本”の太平洋側に注ぐ河川」に生息しています。この場合の“東日本”は大まかにいうと神奈川県を南端としています。ただし、公私に関わらず無配慮な放流がされていた時代もあり、「アマゴのエリアでヤマメが釣れる」こともあります。