■硫化アリルの刺激臭を使う

肉缶にネギを合わせた例。左:コンビーフ。右:牛肉の大和煮

 最後はネギ類であります。例えば、コンビーフに玉ネギを合わせると、玉ネギに含まれる刺激的な匂い(硫化アリル=含硫化合物の一種)がコンビーフ特有の匂いを上回り、強力に抑え込んでくれる。硫化アリルは加熱すると刺激が低下するけど、その代わりに出てくる甘い匂いも、同じようにコンビーフの匂いをマスキングしてくれる。

 長ネギもレトルト臭に有効だ。切った時に出てくるアリシンという匂い成分は、肉や魚の缶詰のこもったようなレトルト臭を打ち消してくれる。切りたてのネギがもっとも効果的だけど、カット済みのネギもそれなりに有効ですぞ。

 缶詰で使う食材の種類や製造方法によって匂いの強さは変化するけど、僕の経験では肉や魚を使った缶詰やスープ系、カレー系の缶詰で発生しやすいように思う。また、レトルト臭は缶詰だけでなく、レトルト食品(レトルトカレーなど)でも発生する。匂いに不満を感じている人は、今回のようなテクニックを参考にして、ぜひ解決してほしい。