■激渋! ようやく手にできたイワナたち

当日、一番の良型イワナ。その野生味ある風貌に魅力を感じます。同行の二人のうち、後輩が釣ったのでこの後の関係性が気になります……

 本流、そして数多くある支流のどこで釣りをするのか迷います。コンディションを考慮して、選んだポイントにはすでに足跡が……。影が見えなくても雪上の足跡で先行者の有無もわかるのが残雪期の良さでしょうか。

例年より明らかに少ない雪。ここ数日の降雪がなければ、河岸の雪はきっと残っていなかったのでしょう

 今回は埼玉から来た2人のルアーマン(同じ会社の先輩と後輩)をアテンドしての釣行です。気温自体は約2℃とそれほど低い訳ではありませんでしたが、入渓した沢の水温は2.5℃。昨夜の湿った雪の影響でしょう、この時期にしてもかなり低めでした。魚(イワナ)の姿は見えどもなかなか口を使ってくれません。

 場所を変えた方がいいかと悩んでいたら、気づくと先輩が一匹目をネットに入れていました。小さくても野生味溢れる美しい魚体に見惚れてしまいます。今度は、一段下で粘っていた後輩のロッドがしなっています! こちらは尺には届かないものの、なかなかの良型です。その風貌には精悍さが漂っていました。

イワナたちは、とても厳しい冬を過ごしたと思えないほど色艶のいい状態でした

 こうなると僕の釣りスイッチも入ります。少し下流に戻って上流の二人の姿を見守りつつも、深みの底を探るようにじわじわとフライを流していると、マーカー(目印)が鈍く引き込まれてフッキング。寒気が来る前までは、春のような陽気だったせいでしょうか、どのイワナも“サビ”(冬期に見られる黒ずんだ体色)がなく、色艶のいい煌びやかな魚体でした。