短すぎる梅雨が日本列島を駆け抜けて、例年より早く始まった猛暑。少しだけでも、近場の涼しいところに行きたい。標高が100m上がるごとに気温は0.6℃ほど低くなり、緑が多いところだと日差しが遮られ、より体感温度は下がるということで、筆者は兵庫県姫路市の書写山(しょしゃざん)に登ってきた。

■西の比叡山と呼ばれる修行の山、書写山とは

 姫路市の北西部にある書写山は標高371m。千年以上の歴史をもつ天台宗の古刹「圓教寺(えんぎょうじ)」を山内に抱く、姫路の象徴的な霊山だ。古くから「西の比叡山」とも称され、修行の山として多くの僧侶や参拝者を迎えてきた。 

 今回登ったルートは東坂コース。書写山には6つの登山道があるが、東坂コースは比較的登山者が多く、メジャーな道として知られている。

東坂ルートから一本道で山頂を目指すルート(国土地理院地図より引用)

 朝7時半にJR姫路駅に集合し、そこからバスで30分ほど揺られて書写山登山口へ到着。ちなみに書写山行きのバス乗り場はロータリーの一番北側。10系統「書写山ロープウェイ行き」に乗ろう。

 バスを降りたらすぐにロープウェイの乗り場があるが、今回はスルーして看板の通り、登山道へ。田んぼ沿いに歩いて行くと、民家の脇に細い道がある。どうやらここが登山口のようだ。

 民家の脇に急に現れる登山口はわかりにくい。もっと「ここですよ!!」とアピールしてくれてもいいはずだ。登山回数を重ねたベテランであればすぐ見つけられるのかもしれないが、筆者はまだまだ修行が足りないようだ。

書写山の登山口。ここで拝んでいる人がいたから見つけられた

■え、もう到着!?  歩き始めて30分で頂上へ

 東口登山道は階段になっているところが多く、歩きやすい。入口から5分ほど青々と茂った森の中を歩いて行くと、すこし道が開けて姫路市街を横目に見ながら登山を楽しめる。歩きやすい道の両脇はたくさんの緑で囲まれており、目から涼しさを感じられるような気がする。とはいえ、ずっと日陰というわけではないので、真夏に登山をする時は帽子と日焼け止めは必須だ。

 特徴的なのが、山頂にお寺があるからなのか、登山道にお地蔵さんやメッセージの書かれた石が所々に置いてあったことだ。

5体の羅漢像(3体は裏にいた)が登山を応援してくれる

 友人と雑談をしながら歩いていると、山頂側のロープウェイ乗り場が現れた。ロープウェイがあるということはもうゴールだ。登山口に入ったのが8時16分、今が8時48分……。30分ほどで登りきったということになる。

■ロープウェイに着いてからのお寺が登山の本番だった

境内に広がる道がまさかこんなに続くものだとは

 冒頭で紹介したように、書写山には圓教寺がある。登山前、下調べの段階では「頂上にちょこっとお寺があるくらいなのかな」と思っていたが、大間違い。

 圓教寺こそが書写山登山の大本命。大人1人あたり500円(税込)の入山料を払って、お寺の中に入らせてもらう。

東京ディズニーランドくらいの広さがある書写山圓教寺

 お寺の中に「入山」して、地図を見てびっくり。想像の10倍は大きい。あとで調べて見ると、書写山圓教寺の境内地は約31ヘクタール。東京ディズニーランドのサイズが約51ヘクタールなので、その大きさがわかるだろう。 

 つまり、さっき「30分で登頂した!」というのは勘違いだった。登山道ばかり見て、下調べが足りなかった。気を取り直し、まず山頂に行って、そこからお寺を散策することにした。

頂上まで犬の散歩できている人もいたので、生活に溶け込んでいる山ということが伺える

 境内の入口から頂上までは歩いて30分くらい。東口の登山口から頂上までは1時間程度となった。