群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがる尾瀬国立公園は、もともとは日光国立公園の一部だったが、そこから分割されて2007年に29番目の国立公園として登場。本州最大の高層湿原である「尾瀬ヶ原」、只見川の源流となる「尾瀬沼」の2エリアを、至仏山や燧ヶ岳、会津駒ヶ岳などの日本百名山が取り囲み、自然と花が織りなす美しい景色が特徴だ。
かつては水力発電による電力開発の危機にさらされたが、自然保護活動により貴重な自然が守られ、現在のような美しい景観が守られている。このため尾瀬は、日本の「自然保護の原点」とも呼ばれている。
そんな尾瀬はどんな場所で、どんな楽しみ方ができるのか、あらためて超基本的な情報を取り上げていきたい。
■尾瀬は3県から入山できる

尾瀬は、群馬県の片品村、福島県の檜枝岐村、新潟県の魚沼市(奥只見口)の3県からアプローチできる。入山口が広域にわたるため、電車+バスによる公共交通、マイカー、さらに船を利用するなどさまざまな方法があり、マイカー規制されている入山口もある。それぞれの入山ルートへのアクセス情報をチェックしておこう。

群馬県側は、鳩待峠と大清水、富士見下の3つの入山口があり、さまざまなバリエーションで尾瀬を楽しめる主要入山ルートだ。かつては富士見下が尾瀬へのメインルートだったが、鳩待峠が整備されてからはこちらから入山するハイカー・登山者が圧倒的に多い。登山シーズンに合わせて高速バス「尾瀬号」が新宿から運行されているのでこちらの利用も便利だ。

福島県側の入山口は、御池と沼山峠、七入がある。御池や七入はマイカーで行けるが、沼山峠はシャトルバスに乗り換えての移動となる。都内からなら、東武鉄道の特急列車「リバティ」と沼山峠へのバスがセットになった「尾瀬夜行23:45」を利用するのも手だ。


新潟県からの入山ルートはトンネルが続く奥只見シルバーライン(国道352号)を抜け、秘境の奥只見湖を経由するというもの。上越新幹線・浦佐駅から路線バスで奥只見ダムに向かい、ダム湖の遊覧船で尾瀬口の船着き場へ。そこから乗り合いバスで御池や沼山峠まで移動と、さまざまな乗り物を乗り継いで入山口に向かうのがこのルートの醍醐味だ。
また、国道352号を通ってマイカーで御池まで行くこともできるが、沼山峠までは御池でシャトルバスへの乗り換えが必要となる。
■尾瀬のグリーンシーズン

尾瀬は、例年4月中旬の道路開通後に入山可能となり、残雪期は雪山登山やバックカントリーが楽しめ、11月上旬の道路閉鎖までハイキングや登山に訪れることができる。
広大な湿原が広がる尾瀬ヶ原は、至仏山や燧ヶ岳のどちらも眺めることができる人気スポット。木道が整備されており、池塘とよばれる池や季節ごとの花々を愛でながらのんびり散策できるのが魅力だろう。

標高1,650mに位置する尾瀬沼は、燧ヶ岳の噴火によって只見川が堰き止められてできあがったもの。視界が開けた尾瀬ヶ原に対し、尾瀬沼は湖畔付近まで樹林に覆われ、夏は新緑が鮮やかだ。また、湖畔に映る「逆さ燧ヶ岳」の景観もすばらしい。
