■「雪が降るとブラウンが釣れる」ジンクスは本当か!?

雪に覆われた河原。足跡の状態から釣り人の入り具合がわかるのはメリットですね

 年が明け、ようやく犀川も雪景色となりました。「雪が降るとブラウンが釣れる」 以前より犀川でまことしやかに囁かれているジンクスです。実際のところ根拠に乏しい気もしますが、筆者自身何度か経験したこともあるので、何か理由があるのかもしれません。とにかく川に立つ言い訳が必要です。

 性懲りもなく川に立ち込んでいると、あっという間に時間が過ぎ夕暮れ時となりました。その日もボウズを覚悟しつつ「最後のひと流し」を何回も繰り返し、いよいよ足元も見えづらくなる頃、前触れなくその時は訪れました。根掛かり覚悟でフライを泳がせたストラクチャー(古い橋脚の名残り?)の際、水中のゴミにでも引っかかったような妙な感触に最初はアタリだと思わずに無心でラインを手繰りました。「え? 生きてる!」

 セカンドシーズンの犀川釣行13回目、ようやくまともに掛かった魚の感触は忘れていた興奮を思い出させました。打ちひしがれ無欲だった合わせ? が功を奏したのか、理想的なフッキング状態です。2回ほど走られましたが、水温が低いせいか後は大人しく寄ってきますが、最後まで油断大敵です。「絶対にバラしたくない」

シルバー系の魚体が残照で黄金色に染まっています。正直、釣れないと思っていたのでカメラは携行していませんでした。携帯で撮った一枚

 サイズこそ大きくはありませんが、均整のとれた魚体に美しく張ったヒレ。どこか高貴な雰囲気を漂わせるシルバー系のブラウントラウトは、残照に優しく照らされ黄金色に輝いていました。夕闇迫る川岸で一人、声にならない嗚咽のようなものが込み上げ、初めて犀川で釣れた時のことを思い出していました。この感動を味わうと釣りはやめられませんね。やはり雪とブラウンは相性がいいのかもしれません。

 あと2週間ほどで長野県内の一般渓流が解禁を迎えます。春遠からじです。