■恵みの雨!? 好調子に盛り上がる下流エリア

 翌日は朝から断続的に雨が降っていた。昨日とほぼ同じポイントに入って開始時刻を待つ。上のプールに一人餌釣り師が入り、こちら側はフライの筆者が一番上流で、下流にルアー、フライ、フライ、ルアーと並んでいる。隣同士声が届く距離なので、情報交換しながら皆さんリラックスしていて心地いい。時間になり隣のルアーマンがキャストした。筆者もロッドからフライを外し……。

開始早々、いきなりサケを掛けたお隣さん。よく見ると奥のルアーマンもファイト中!

 なんと2投目でお隣さんのロッドが曲がっている。走り回るサケを巧みにコントロールしながら、70cm後半の鼻の曲がった立派なオスをネットに導いていた。同時に下流のルアーマンも激しいやり取りの最中だ。のんびりとした雰囲気は何処へやら。「今日は釣れる!」釣り人たちは一斉に鼻息荒くなっていた。

釣り上げられた後はストリンガーで繋ぎ、魚連の方の到着を待つ

 遠雷が鳴り響き、小康状態だった天気が再び崩れ出した。恵みの雨となるか。果たして再び隣のルアーマンが2本目、立派なオスを取りこんだ。さらに真ん中のフライフィッシャーも見事に1本釣り上げているではないか。もはや道具の違い(有利・不利)を言い訳にすることができない。聞くところによると、上のプールの餌釣り師もすでに何本か釣っているようだ。

タフなコンディションのなか、黙々とサケを狙う釣り人たち

 雨足が強まり驟雨となった。雨雫に叩かれた水面が煙っている。寒いしアタリもなく正直辛い。だが釣れていない僕が帰る訳にもいかない。隣のルアーマンのロッドが曲がっている。なんと3本目。しかも待望のメスだ。昨日と言い、今日と言い、僕の隣はよく釣れる……。 素早くやって来た魚連の方が、採卵のために丁重に魚を運んで行った。

 時間ギリギリまで粘ったが、無念のタイプアップ。いつしか雨は上がり、空は明るくなっていた。

■これからの遡上に大いに期待!

それぞれ狙いのポイントに入り、開始時刻を待つ。ワクワクしながらのひととき

 上流エリアの釣果も鑑みると全体的に渋い釣りではあった。だが殺伐とするようなことはなく、初対面でも釣り人同士で励まし合うように声を掛け合い、むしろ和気あいあいとした雰囲気で釣りをすることができた。庄川漁連の方々からも色々と話を聞いたりと、充実した2日間を過ごすことができたので、個人的には大いに収穫があった。

 残念ながら僕自身は“サケ増殖のために親サケを釣る”ことは叶わなかった。不甲斐ない釣果で全く役立たず、ふ化放流事業に貢献することはできなかったが、来年までに腕を磨いて再訪したい。

 遡上の数はこれから中旬、下旬にかけてどんどん増えていくだろう。今後の釣果に期待したい。