■ダムの放流情報と自身のデータが要!
翌日。夜中の雨は予報ほど降らなかったので油断していたのですが、川を見に行ってみると複数ある上流のダムから放流されたようで、水位こそそれほど上がっていないものの、水は茶色く濁っていました。右往左往して飛び回っているカワウの姿。この時ばかりは気の毒な気持ちになってしまいます。
支流、吾妻川との合流点を見に行ってみると、運よく「八ツ場ダム」は放流しておらず、流れには透明感があります。合流点から目ぼしい流れを探りつつ、わずかな期待を胸に釣りを続けましたが、結局小さなヤマメが数匹釣れただけでした。
当然ですが、ダム管理事務所の情報を元に、放流量による狙いのポイントの状況の変化を把握することが大事なようです。筆者のホーム(リバー)の犀川などでは行っている作業なのですが、“ノボリ”遠征に浮かれてすっかり“おのぼりさん”状態になっていました……。
■最終日「利根マスには出会えなかったけれど」
3日目。小雨がぱらついていますが、濁りもだいぶ収まり、流れる川底の石の様子も見えるようになっていました。朝8時の気温は22℃、水温は16℃まで下がっています。チャンスだと思って目ぼしいポイントを攻めますが、まるで反応はありません。
雨が上がり陽が射すと河原は一気に蒸し、香ばしさと青臭さが入り混じったような匂いいが立ち込めます。慌ててジャケットを脱ぐと、汗で浸水したように濡れてしまっていました。気温は29℃まで上がっていました。
なんとか夕方に(フッキングした瞬間は大きいと思ったのですが)小さなヤマメをネットに収め、3日間の釣りを終えました。
日の長いこの時期、早朝の出勤前や仕事帰りに竿を出している釣り人の姿を見かけました。筆者の住む長野には海がないのはもちろん、遡上を妨げるダムが存在するため、“海からの遡上魚”を狙うことができません。条件の良いタイミングで旬の遡上魚を狙うことができる環境をちょっと羨ましく思ってしまいました。シーズン中にもう一度来ることができるでしょうか。釣りを続けていれば、きっといつか憧れの利根マスに出会えるでしょう。釣り人は楽観的です。