■ついに念願の一匹! 脳裏に残るは逃した良型の姿

移動中も見頃の桜に出会うとついカメラを出してしまい、なかなか先に進みません
森のなか、雰囲気のあるプール。この水底にはモンカゲロウのニンフ(幼虫)たちがいっぱいます
大型のカゲロウを捕らえて意気揚々としている様子の蜘蛛。メガネドヨウグモでしょうか

 翌日は一転、今にも泣き出しそうな暗い空を気にしながら、過去に2回訪れたことのある渓へと向かいました。気温は15℃、水温9.3℃です。一度目は釣果に恵まれましたが、次に訪れたときは全く魚を見なかった場所です。

 カジカガエルの麗しい鳴き声に誘われるように河原に降り立ちます。釣り自体は満喫していますが、川をほっつき歩いているだけなので、釣り人としてはそろそろ釣果がほしいところです。連続する魅惑的な淵からは反応がありません。

小さいですが、ようやく釣れた一匹に笑みがこぼれました

 念の為にフライを流したくるぶし程度の深さのチャラ瀬から小さなヤマメが飛び出しました。20cmに満たないようなサイズですが、きれいに整った姿は春の風情漂う渓相によく馴染む美しさです。

 そこからは飽きない程度にヤマメが釣れますが、いずれも重箱の隅をつつくような小場所です。またしても魚が飛び出しました。浅い瀬には似つかわしくないような良型です。嬉しさのあまり少々強引にやり取りした瞬間、ふっとテンションが抜けてフライが宙を舞っていました……。バラしたショックにしばらく呆然として河原に立ち尽くします。首を振りながら、脳裏には怒ったように流れに戻っていったヤマメの残像。

 上流からの風が強くなってきました。谷底から仰ぎ見る斜面上部では木々が大きく揺れています。魚の反応も良くなって「さあ、これから」というタイミングでしたが、少々不安が募ります。電波もないので最新の天気の動向はつかめません。

 退渓予定にしていた場所まではまだ距離があります。少々悩みましたが右岸に張り出した、ちょうど登りやすそうな尾根に取り付きました。地形図でチェックしても問題なさそう。鹿の足跡を辿るように標高差80mほどを登って車道に出ました。体まで煽られるような強風で、車に戻るとほぼ同時に横殴りの雨となったのでした……。続きはまた今度、ですね。