■魚はいるけれど渋い食い気…… 時合!? 尺一寸をネットイン!

雪と岩の陰、深さがあり身を潜められる“穴”のようなポイント

 水中を漂わせているストリーマーに幾度となく、黒い影がゆらゆらと近づいてくるのですが、食いが浅く、なかなかハリにかかりません。警戒心も薄いようですが。それでいて一度食い損ねると、もう反応がありません。

 退渓予定の場所が近づいてきました。目ぼしいポイントも残り数箇所です。

記念すべき最初の一匹! 元気いっぱいのイワナでした

 やや焦りを感じ出したとき、確かな魚信が伝わってきました。待望の一匹です! 20cm半ばのイワナはサビもなく、すっかりシーズンインしているようです。

 ストマックポンプを入れると、ユスリカのラーバ(幼虫)や、同じくらいのカワゲラやカゲロウのニンフ(幼虫)がわんさか出てきました。

続いて釣れたのは29cmのイワナ。サイズがアップすると単純に嬉しいです

 時合(じあい)なのか、すぐにもう一匹掛かりました。なかなかの手応えだった29cmのイワナは、いくぶんお腹がすっきりしています。まだ大きいのが出そうな予感にワクワクしながら次のポイントへ。

 雪と岩下を這うように回る反転流にストリーマーを漂わせ、頃合いを見計らって逆引きした瞬間にラインに重みが乗りました。4番のグラスロッドが弓形に絞られ抗う重量感はかなりのもの。引き寄せてくるとその大きさに心が踊ります! 果たして約34cm、尺一寸の貫禄あるイワナでした。

厳しい環境を生き抜いたイワナならではの美しい姿に惚れ惚れします

 十分に老成した感のある、野趣あふれる姿。頭の大きさが目立つのは、まだ空腹を満たすほどのエサが取れていないせいでしょうか。光の角度によってはアバラも浮いているのがわかります。これから春に向かってエサの水生昆虫たちも成長するので、きっと効率よく栄養が取れることでしょう。そのうち陸生昆虫たちも捕食できるようになって……。寿命はあと一年くらい? 釣り上げておいて勝手ですが、イワナの余生を想像しながら流れに返しました。

 最後のポイント。再び良型がフライを咥えてくれました。尺くらいでしょうか。キャッチ直前「さっきより小さいな」 そんな思いが頭をよぎったら見事にフライが外れ、イワナは身を翻して水中へ消えていきました。

 実際にロッドを振った11時から15時までの釣行中の気温は6〜9℃で、水温は5.8〜6.4℃でした。解禁当日から素晴らしい釣り、魚を楽しめたのは陽気と少雪のおかげです。しかし、このまま雪が積らなければ、夏に猛暑になったときの水量が心配です。渇水でも(農業や発電なども含め)人間の生活が優先されて取水されてしまいます。水が少なければ水温も上がってしまいますし、夏にはどうなることか。この先の渓の様子が今から心配です……。