降雨や高湿といった気象条件で、ガラス細工のように透き通る“スケルトンフラワー”と呼ばれる「サンカヨウ」 その幻想的な姿は、雨の日の特別な魔法にかかったようだ。

 サンカヨウは本州から北海道の雪の多い高原地帯に自生する。本州では長野県の上高地や白馬エリアの栂池(つがいけ)自然園の群生地が有名だ。しかし、これらの場所はマイカー規制や索道利用等が必要になり、雨の日に花を見るため足を運ぶには少々ハードルに感じることも。

 そこで今回は、筆者がこれまでに行ったことのある場所の中から、往復1時間から1時間半程度で楽しめるサンカヨウの観察スポットを3つ厳選して紹介する。

■平湯温泉/平湯オオネズコ遊歩道【岐阜県高山市】 

 最初に紹介するのは、岐阜県高山市の平湯温泉周辺で見られるサンカヨウ。標高約1,300m、平湯キャンプ場から続く「平湯オオネズコ遊歩道」で見られる。平湯大滝駐車場に車を停め、キャンプ場を経由して原生林の中へ。青々とした木々が天然の屋根となり、雨を和らげてくれる。

 道中、まず目を引くのは緑と白のコントラストが美しいニリンソウ。早朝や雨の日は花を閉じていることも多いが、花弁を閉じて丸くなった花が雨に揺れる様子もまた愛らしい。

 標高約1,350m地点付近まで進むとサンカヨウの群生地が現れる。花の間を歩ける小径があるので、ルートを踏み外して植生を傷めないように注意。ここでお目当ての透明になった「スケルトンフラワー」を探してみよう。

平湯オオネズコ遊歩サンカヨウスポット(国土地理院の地理院地図より引用)
みずみずしい緑が美しい遊歩道
雨に揺れるニリンソウ
雨に濡れて透明になっていくサンカヨウ

コースタイム
 駐車場からサンカヨウの群生地まで片道約800m、往復45分程度
交通アクセス
 車:中部縦貫自動車道・平湯ICから平湯大滝駐車場まで1分
 公共交通機関:JR高山本線・高山駅にある高山濃飛バスセンターから大滝口・キャンプ場前バス停まで約1時間

■戸隠高原/大洞沢【長野県長野市】 見頃:5月下旬~6月上旬

 次に紹介するのは長野県戸隠高原の大洞沢(おおほらざわ)に咲くサンカヨウ。大洞沢は戸隠キャンプ場から高妻山(たかつまやま・標高2,353m)へ続く登山道沿いにある沢だ。

 ここは筆者が高妻山に登ったときに偶然見つけた場所なので、有名スポットのような開花情報は公開されていない。例年だと「平湯温泉のサンカヨウが終わる頃」に咲き始めるので、平湯温泉のサンカヨウの開花情報を目安にするのがおすすめだ。

大洞沢サンカヨウスポット(国土地理院の地理院地図より引用)

 戸隠キャンプ場前にある高妻山登山者専用駐車場からスタート。キャンプ場を抜けて登山道入口へ向かう一帯は、視界を埋め尽くすほどのニリンソウ群生地で、その規模は圧倒的だ。ニリンソウの花畑を抜け、さらに森の中へ進むと、標高1,320m付近からサンカヨウが姿を現す。大きな群生地ではないが、まだあまり知られていない場所なので、静かにじっくりと“スケルトンフラワー”を観察できるのが最大のメリットだ。

戸隠高原ニリンソウの大群生地
登山道沿いに咲くサンカヨウ。他の植物に混じって大きな葉を広げる
雨に濡れ透明になったサンカヨウ

コースタイム
 駐車場からサンカヨウの群生地まで片道約1.7km。往復1時間半程度
交通アクセス
 車:上信越自動車道・信濃町ICから高妻山登山者専用駐車場まで約30分
 公共交通機関:JR信越本線または北陸新幹線・長野駅から戸隠キャンプ場バス停まで約1時間