■3度目の正直! 良型イワナと野趣溢れるヤマメ
この渓にはイワナもいます。今度は流れの緩い岩と岩の間や流れの“ヨレ”、深みのある場所や隠れやすい“エゴ”などを重点的に狙ってみることにしました。
岩の奥が暗い陰となっています。仄暗い“穴”のなかには大物が潜んでいそう。立ち位置や周りの薮、そして重いリグでどうしてもキャスティングにムラがあります。何度も試して。ようやく奥のそのまた奥の暗い陰のなかにフライを流し込むことに成功しました。
「根掛かり?」そう思ったのも束の間、波打つような生命の脈動が手元に伝わってきます! 魚は凄まじい重量感でそのまま岩の奥へと吸い込まれていきそう。懸命に抗うのですが、新調したばかりのロッドが弓なりになっていて折れそうです。「引っ張りだせそうかな」そう思った瞬間、テンションが抜けてフライだけが宙を舞っていました……。
ショックに打ちのめされつつ、続くポイントにフライを流すと、先ほどよりは小さいけど良型が! しかし、集中力を欠いた状態で、またバラしてしまいました。
大岩がいくつも転がる合間を水が流れています。泡立つ反転流のなかにじっくりと沈めたソフトハックルが3回転ほどしたとき、グンとラインが吸い込まれました。テンションを保ったまま、今度はどうにかネットまで導くことができました。白っぽいイワナは川床の色によく馴染んで透明感があり、この渓の景色そのものでした。
一段上、そっと覗くと“肩”にヤマメが定位しているのを見かけました。岩陰に隠れながらキャッツキル・スタイルのドライフライを結び、フライラインをほとんど出さずに静かに流します。電光石火の早業でフライに飛びついてくれたヤマメは、小さくも野趣溢れる風貌でこちらを睨んでいました。
これから徐々に木々も芽吹きだします。新緑に覆われた渓でロッドを振るのが、今から楽しみです。