■セレクティブなアマゴたちの反応に一喜一憂!

20cm後半、サビが残る黒ずんだ魚体に散りばめられた朱点が鮮やか

 正午近くの気温は14℃台となりましたが、水温は3.1℃です。目を凝らして見ていると、ごく小さな虫がときおり水面を飛んでいます。水面付近を流下するものは小さすぎて判別できません。しかし、泡やゴミに混ざっているなかで、“何か”を捕食しています。

 おそらく羽化途中のユスリカでしょう。想定していたので、フライボックスにはいくつか該当しそうなパターンが入っています。

 何度かフライを流しますが、なかなかお気に召さないようです。試しに少し大きいサイズ、細身に巻いたコンパラダン(ドライフライの一種)を流してみると、チラリと目線を送って無視……。かと思った次の瞬間、振り向くように反転したアマゴは水面で口を開いてフライを咥えてくれました! グリップに伝わる生命の脈動に胸を躍らせつつ、ロッドを掲げてテンションを保ちます。場を荒らさないように静かに下流へと誘いネットイン。

 やや黒ずんだ魚体に散りばめられた朱点。アマゴならではの特徴ですが、少々派手すぎる気もします。いずれにせよ思っていた以上にサイズもよく、精悍な印象のアマゴでした。

鮮やかな朱点だけでなく、透明感のあるヒレにも目を奪われます

■釣りは言い訳!? 川辺で過ごす時間こそが至福のとき

 1時間で3匹釣り上げたところで場所を移動することにしました。とてもスリリングで楽しかったのですが、他のポイントも気になります。土手のような田舎道を、流れを眺めつつのんびりと下りました。

 「今度はイワナが釣りたいな」

 丹念にイワナが潜んでいそうなポイントを探りますが……。目ぼしい反応を得られないまま件のポイントに戻ってきました。

 サービスタイムは終了したようで、ゆらめく魚影はあるものの、先ほどより定位位置を下げており、頭上を流れるフライには見向きもしません。試しにニンフ(水生昆虫の幼虫を模したフライの一種)も結んでみましたが、わずかに気にする様子はあるものの食い気はありません。そんな魚たちの反応を見ながら、ときおりやってきては囀る小鳥たちにも目を配りつつロッドを振り続ける静かな時間……。こうしていると、川辺で過ごす時間こそが楽しみであり、(大の大人が川でぼうっとしていると怪しいので)釣りはあくまでもエクスキューズなのかもしれないと感じます。

川辺のネコヤナギ。白銀の花穂が猫の尾のようで可愛らしい

 この夏はふたたび猛暑、酷暑となるのでしょうか。加えて少雨だと渇水が心配です。この後少しは寒の戻りがありそうです。願わくば、春になりきる前に山上の積雪が少しでも増えてほしいところです。