■モンカゲロウの季節が到来!
夕方、プールの横でライズ待ちしながら川面を見つめていると、大型のカゲロウがふわふわと舞っています。
あらためて水面をよく観察すると、岸よりの水面から次々と飛び立っていきます。モンカゲロウ(モンカゲ※)です! 彼らが羽化するのはまだ先だと思っていたので、びっくりしました。でもモンカゲに間違いなさそうです。桜同様、今年は早いのでしょうか。
※カゲロウの一種。国内では最も大型で、羽の紋様が特徴的。ニンフ(幼虫)・ダン(亜成虫)・スピナー(成虫)の完全変態で水面羽化する。地域(標高や温度)によって違いがあるが、ゴールデンウィークあたりから羽化する。
砂地で藻も発生しているような、ウェーダー(胴長)を履いていてもあまり入りたくないような水底ですが、こんなところがモンカゲのニンフの住処です。その辺りを見つめていると……。
何もなかった水面に突然現れるように見えるダン(亜成虫)。まるで手品か魔法のようです。徐々にその数が増えていきました。今までにも釣りの途中で羽化に出会うことはありましたが、ここまで連続して大量の羽化の瞬間を観察できるチャンスはありませんでした。ちなみに前々日の夕方(同様の時刻・気温・水温・天気)にも来ていたのですが、モンカゲには気づきませんでした。
神秘的な瞬間をここまで目の当たりにできたのは幸運です。もはや釣りをしている場合ではありません。羽化に失敗したり、飛び立つのに手間取っていると、すぐ先には瀬が待っています(溺れてしまいます)。 数秒前まではエラ呼吸、水中で生活していたのに一度羽化してしまうと後戻りできない。水の中では生きていけません。その“無常”の様に、人生を重ね合わせてしまいます。
カメラ片手にモンカゲたちの応援に専念です。近くに人がいないのをいいことに、うまく飛び立つ度にガッツポーズをしてしまっていました。
■“モンカゲチャンス”!?
さて、完全に暗くなる前に、念のために最後のひと流しです。対岸の護岸の際、明らかにそこが一番の好スポットのはずなのですが、日中に何度フライを通しても反応がなかった場所です。件のモンカゲたちが羽化しているラインは、そちらには容易には流れていかない筋なのですが、うかつにもその筋に向かって舞っていく個体も見かけました。「きっと大物がもの欲しげに狙っているに違いない」
フライが見えなくなるくらい、ギリギリのタイミングでした。「ガボーン!!」と、このポイントで見たことないような巨大な水飛沫をあげて大物が出ました!
ですが、すっぽ抜け〜 やはり大物はいた! 千載一遇のチャンスをフイにしたのですが、意気消沈するどころか、むしろ清々しい気分でした。モンカゲの季節には来られないかもしれませんが、また来る楽しみができました。やっぱり桂川は楽しい!