兵庫県高砂市と加古川市の境に位置する「高御位山(たかみくらやま・標高304m)」は、“播磨富士(はりまふじ)”とも呼ばれ、古くから山全体が信仰の対象にされるなど播磨地方の地元民に愛される標高304mの低山だ。
高御位山を中心に複数の山が連なることから、その稜線は“播磨アルプス”と称される。ふもとの森を抜けると展望のきく露岩が続いているのが特徴的で、手応えのある岩場歩きも楽しめる。岩場では視界がずっと開けているのでどんどん空に近づいて行くような感覚が爽快だ。
登山ルートは複数あり、整備された家族連れ向けのコースもあるため、今回は登りは岩場歩きを体験し、帰りは整備されたコースで下ってみた。
■ちょっと分かりづらい? 登山道の入口

今回のコースは、高御位山の辻登山口から太閤岩(たいこういわ)〜北山奥山〜中塚山〜高御位山と尾根伝いに歩き、最後は高御位山神社から高御位山成井登山口に下りるルート。最寄駅はJR西日本 山陽本線(神戸線)の宝殿(ほうでん)駅だが、駅から登山口までは2kmほど歩く。部活動に向かう高校生たちの集団に季節を感じながらテクテク歩いて来たのだが、地図でこの辺りだと思う箇所に登山口が見つからない。道を間違えたか? と焦って周囲をよく見ると、山沿いにひっそりと登山口があった。

■太閤岩で羽柴秀吉に思いを馳せる

登山口から20分ほどは鬱蒼とした森の中をひたすら登る。なかなかの傾斜もあるので、こまめに休憩を取りながら登ったほうがよさそう。息が上がってきたころ、急に草木がなくなり視界が開けた。最初の名所は「太閤岩」だ。
羽柴秀吉が加古川を攻めたときにこの岩に腰掛けて采配を取ったといわれている。見晴らしがよいこの場所からは、南側は瀬戸内海まで確認できる。大物が座ったという岩に自分も座って、来週の商談がうまくいくように願をかけてきた。

太閤岩を越えてから高御位山山頂まではずっとむき出しの岩場が続く。山の中に一筋の登山道がすっと延びているのはある種の美しさを感じるが、小さな山が連なっているためアップダウンがなかなか多く、こまめに休憩を取りながら歩みを進めた。また、今回は春でかつ曇りだったのでそれほど強い日差しは感じなかったのだが、夏場は日陰がないためかなり厳重に熱中症対策をしていったほうがよさそうだ。
パーカの中が汗ばんで来たころ、登山を始めて1時間半くらいで高御位山山頂へ登頂。頂上からは瀬戸内海や東播地方が一望できてかなりの絶景だった。ちなみに兵庫県は日本で一番ため池が多く、全国の10分の1のため池があるとのこと。なかでも東播磨地方に集まっているそうだ。

■成井登山口へのコースは整備されていてとても歩きやすい!

帰りは成井登山口を目指す。ワイルドな辻登山口からのルートと一転、こちらはかなり整備されていた。
頂上から登山口までずっと階段が続き、下りだと所要時間は1時間ほど。距離も短い。ただ一気に下るので、スピードが出すぎないように気をつけよう。
成井登山口では家族連れの登山客が多く、初心者やファミリーからベテランまで多くの人が高御位山を楽しんでいることがわかった。
■高御位山に行こう
兵庫県にも山はたくさんあるが、高御位山は市街からのアクセスも悪くなく、登山中も景色をずっと楽しめる。一度は訪れてほしいおすすめの山の一つだ。
【JR神戸線・宝殿駅から高御位山頂上までのコース】所要時間
JR神戸線・宝殿駅→高御位山辻登山道入口(40min)→太閤岩(20min)
→北山奥山(15min)→中塚山(15min)→高御位山(50min)→高御位山成井登山道入口(50min)→JR神戸線・宝殿駅(50min)
歩行距離:約10km
獲得標高:登り約427m
合計所要時間:4時間