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 夏山シーズンを目前に控え、各地の山小屋が営業をスタートして盛り上がりを見せる一方、今シーズンはひっそりと休業を余儀なくされている山小屋もある。黒部の深部に位置する、欅平、鐘釣に建ついくつかの山小屋だ。

 このエリアの山小屋が休業を決めた背景には、昨年発生した能登半島地震の影響があった。現在の状況と、山小屋の存続を支援するためのプロジェクトについてお伝えしよう。

■2年連続での運休、そして休業が決定

黒部渓谷はトロッコ電車でしか行けない秘境

 黒部峡谷トロッコ電車は、富山県黒部市にある宇奈月温泉を起点に、雄大な黒部峡谷の景色を楽しめる人気の観光スポットだ。例年、4月末の営業開始から多くの人々を山の深部へと誘ってくれるが、昨年1月に発生した能登半島地震による落石で橋が被災。2025年シーズンは昨年に続き、営業区間を宇奈月〜猫又間に短縮しての往復運行を行なっており、猫又〜欅平間は運休となった。復旧作業は続いているものの、今年中に復旧することは難しく、再開は2026年以降になることが決まった。

欅平周辺の登山道の状況1

 この決定に伴い、欅平起点の登山コースは入下山ができない状態が続く。また、唯一の交通手段が運行できなくなったことで、黒部峡谷沿線を拠点とする猿飛山荘、名剣温泉、阿曽原温泉小屋、祖母谷温泉、美山荘、鐘釣温泉旅館は2年連続の休業を決めた。物資や電気の供給もままならず、山小屋に入ることすら大変な状況が続いているそうだ。

欅平周辺の登山道の状況2