■煮詰めただけとは思えないウマさ

煮詰めた汁の旨味はサバの身に吸収される

 そのサバしょう油煮缶を汁ごとフライパンなどに開けて、弱〜中火にかける。油は引かなくても大丈夫。サバの身を押しつぶすようにしてほぐしながら加熱すると、やがて水分が蒸発して煮詰まり、旨味がサバの身に吸収される。汁気がほぼなくなれば、調理は缶了(完了改め)だ。

 こうして出来たサバのそぼろは、缶汁を煮詰めただけとは思えないほどウマい。凝縮された砂糖しょう油の甘辛い味は、すし飯に合わせるのにちょうどいい濃さになる。

■目安は1合に1缶

さばのそぼろをすし飯に広げる

 このそぼろを、すし飯の上に広げる。通常のサイズのサバ缶(内容量150〜180g)1缶で、だいたい1合分のすし飯にちょうどいい量になる。

 他の具としては、紅白かまぼこ、錦糸玉子、干しシイタケを煮たものなどがオーソドックスなところ。個人的にはぜひ、酢生姜(ガリ)を加えてほしいと思う。甘酸っぱい味が箸休めにいいのだ。

■山中で「すし」が食べられる贅沢

山中で食べるとまた格別

 かくのごとし。サバのそぼろだけだと茶色い料理になっちゃうけど、錦糸玉子が入るととたんに華やかになる。その淡い味はそぼろの濃い味と対照的で、いい組み合わせだと思う。少量パックの錦糸玉子がスーパーでも手に入るので、探してみよう。

 ところで、この日は八ヶ岳山麓をトレッキングしようと早朝から弁当を作った。10月最初の週末で、標高1,500〜1,700mの山麓はまだ紅葉が始まっておらず、シラカバの葉がやや黄色くなったくらい。それでも時折、真っ赤に色づいたカエデがあったりして、その下で食べた丹後ばらずしの味は絶品だった。

 なにしろ、これは「すし」なのだ。山中で食べられるなんて、なんと贅沢なことか!

 

●今回の缶詰情報

清水食品「うまい!さば醤油煮」(150g) 

価格は260円前後