■サバ水煮缶のおいしさを生かした料理

山形県名物「ひっぱりうどん」は、サバ水煮缶のおいしさを存分に生かした郷土料理だ。サバ水煮缶とうどん、納豆、めんつゆの4点が必須かつミニマルな材料で、これだけでもちゃんとおいしい。他に刻んだネギや生卵などを加えるとよりゴージャスになる。早速、作ってみよう。
■缶汁がダシになる

ひっぱりうどんのレシピはシンプルだ。鍋でうどんを茹でているあいだに、めんつゆをやや薄めに仕立て(これ大事なポイント)、付属のタレで味付けした納豆を混ぜこんでから、サバの水煮缶を加える。このときに大事なのは、サバの身だけでなく、缶汁も一緒に加えるということ。
市販のめんつゆはカツオと昆布の合わせダシで出来ているものが多く、そこにサバ缶の汁(サバのダシのようなもの)が加わることで、旨味成分が1種類増えることになり、味により深みが出るというわけ。ただ、サバ水煮缶には塩分が含まれているし、納豆も付属のタレで味付けして使うため、トータルでは塩味が強くなる。そのため、めんつゆはやや薄めに仕立てておくといいのだ。
■ひっぱりうどんは“CAN”P料理に向いている

サバ&納豆入りのつけダレの入った器に、鍋からうどんを“引っぱり”込みつつ、いただく。この動作が「ひっぱりうどん」の由来になったと言われている。きっと、ひとつの大鍋をテーブルの中心に据えて、家族や友人で囲んでわいわい言いながら食べるのだろう。いい名前だなァ。
ちなみに、ひっぱりうどんは“CAN”P料理にも向いている。缶汁まで使い切るから、残った汁を始末する必要がない。うどんは茹で時間が短いものを選ぶと燃料が節約できるし、茹で汁の量を最低限にすれば最後にはうどんが湯を吸ってくれる。いろんな汁が残らないため、後片付けが楽チンなのだ。
唯一の欠点は、空になった納豆のパックがずっと匂い続けること。ぼくはいつも小さなポリエチレンの袋(スーパーで生鮮食品を包むやつ)を持参し、納豆の空き容器だけを入れて、しっかり密封しております。
■応援したい人やコトにお金を出す文化

ところで、日本は寄付文化が根付かない国と言われてきた。イギリスのある慈善団体が行った「世界人助け指数」という調査によると(「この1か月の間に見知らぬ人、あるいは助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」などの項目がある)、日本の順位は各国中で118位となり、世界ワースト2位だったそうな(2022年)。我が国のことながら、何だかモヤモヤする調査結果ではある。
ただ、日本にも明るいニュースはある。クラウドファンディングやふるさと納税が根付いたことで、応援したい人やコトにお金を出し、支援する文化が醸成されてきたのだ。今回取り上げたレッドカップキャンペーンも、立派な寄付活動のひとつなのであります。
●今回の缶詰情報
清水食品「うまい! さば水煮 150g」