■快適なピステンを降りたら山頂へハイクアップ!

真っ赤なボディが眩しいピステンに乗車していよいよ出発。エンジンが唸りを上げるが、キャビン内は防音も良好で気にならない。シートの座り心地も快適だ。
ブナ林から、モミやアオモリトドマツが生える終点の樹氷平まで30分ほど揺られると到着だ。森林限界を超えた景色は圧倒的なスケールで迫ってくる。ピステンに乗っての記念撮影など、阿仁スキー場のサービスも嬉しい。連れてきた子ども達もニッコリと上機嫌だった。
遠くのピークを見ながら登りの準備をする。雪面がカチカチのアイスバーンだったり、視界不良なら潔く撤退する予定だったが、予報通りの快晴でコンディションは上々。スキーブーツのキックステップも軽快に高度を上げていく。

稜線上には避難小屋まで竹のポールが設置してあるので、突然の視界不良時にはありがたい。途中、阿仁避難小屋でゆっくり休憩をとって2時間ほどで森吉山山頂へ到着した。厳冬期にはスノーモンスター(樹氷)になっていたアオモリトドマツは、霧氷に衣替えをして僕らを迎えてくれた。
■阿仁森吉山から思い出に残る1本を満喫

厳しい季節風に晒されているせいか、山頂は地面が出ている。見渡す限りの山と森が続いている。山頂の山座同定盤にはすでに登ったことのある懐かしい山や、いつか登ってみたい山名が刻まれていた。のんびりスノーシューハイクの方や、駐車場からスキーで走ってきたバイアスロンの女性など、山頂はおおいに賑わっていた。

いよいよ待望のスキー滑降の時間だ! 陽光を受けビカビカに輝く雪面は極上のコーンスノーだった。ターンをするたびに舞う硝子のかけらのような雪は「シャラララー」と静かな山に不思議な音を立て、その音を聞きながら格別な滑降を楽しんだ。振り返って滑ってきたラインと山を見ると「上手になったね」と森吉山が囁いたような気がした。

■ゲレンデも楽しい「阿仁スキー場」 秋田犬ホクト君に会いにいく
数年前、阿仁スキー場を訪れた時に、ゴンドラ駅入り口にいた秋田犬のホクト君。今回再会を楽しみにしていたのだが、お休みの日もあるようだ。GWまで雪のあるかぎり営業をしている阿仁スキー場。メインのコースはサンシャインコースのみになるが、景色もよく、距離も長くて楽しいコースだ。ゴンドラ降り場には展望台のある無料の休憩所もあり快適。滑る人も登山者も景色を見にくるだけでも楽しい。
周辺には大舘の秋田犬の里記念館や、武家屋敷のサクラが見事な角館など見所がたっぷりだ。春スキーのハイシーズンはまだまだこれからである。心に残る1本を求めて、この春、東北の阿仁スキー場に出かけてみてはいかがだろうか。