高尾山での登山を始めたいけれど、何から準備すればいいか分からない初心者の方へ向け、この記事では、高尾山登山を安全に楽しむための基礎知識をご紹介します。

 所要時間の目安や初心者におすすめのコース、服装・持ち物など、役立つ情報をまとめました。

■高尾山とはどんな山?

高尾山の登山

 高尾山は、東京都心から電車で約1時間とアクセスもよく、年間を通じて多くの登山者や観光客が訪れる人気の山です。標高599mという手頃な高さでありながら、登山道が複数あり、初心者からベテランまで幅広い層が楽しめるのが魅力です。

 山頂からは関東平野を一望でき、天気が良ければ富士山が見えることも。季節ごとの自然や歴史ある寺院、豊富な観光スポットなど、都市近郊でありながら本格的な山の魅力を味わえる稀有な存在です。

●高尾山の登山道

 高尾山には複数の登山道が整備されており、目的や体力に合わせて自由にコース選びができるのが特徴です。

 代表的なのは、道中に茶屋や寺院が点在し、舗装された道で歩きやすい「1号路」。初心者や観光目的の人に人気で、ケーブルカーやリフトで中腹まで上がることもできます。

 自然豊かな「6号路」や尾根道の「稲荷山コース」は、登山を楽しみたい人におすすめです。

 さらに、静かな自然を楽しめる「3号路」や、吊り橋を渡る「4号路」といった個性豊かなコースもあります。

 これらのコースは、体力や興味に応じて自由に組み合わせて歩くことができます。そのため、何度訪れても新しい発見があり、飽きることがありません。 

●高尾山の自然や歴史

 高尾山は、自然と歴史が深く融合する場所です。

 山中には1200年以上の歴史をもつ「薬王院(やくおういん)」があり、多くの登山者が参拝に訪れます。この薬王院は天狗信仰の地としても有名で、境内には大天狗・小天狗の像が人々を迎えてくれます。

 植生の豊かさや美しさも魅力です。適温が異なる温帯林と暖帯林の境界に位置することから、多種多様な動植物を観察できます。

 春には桜やミツバツツジ、夏は青々としたブナなどの広葉樹、秋はカエデなどの紅葉、冬は澄んだ空気と静けさを楽しめる山です。

 こうした自然と文化の奥深さから、環境省の「森林浴の森 日本100選」にも選ばれています。

●高尾山の交通アクセス

 高尾山へはアクセスが良好で、首都圏から日帰りで楽しめる手軽さも人気の理由です。

 電車での最寄り駅は、京王線・高尾山口駅で、新宿駅から直通で約50分。駅からは徒歩5分ほどでケーブルカー乗り場に行けるため、下車後の移動もスムーズです。

 また車を利用する場合は、圏央道・高尾山ICから約5分と近く、周辺には市営駐車場やコインパーキングが点在しています。

 ただし、紅葉や新緑のシーズンには渋滞や混雑が発生しやすいため、公共交通機関の利用がおすすめです。

 電車・車のどちらでも行きやすい立地も、高尾山の魅力の一つでしょう。

■高尾山の登山の魅力|グルメや観光スポットなど

高尾山の登山

 高尾山の登山の楽しみ方は、ただ山を登るだけにとどまりません。

 ケーブルカーに揺られ、寺院で祈願し、四季の自然を愛でながら歩くルートには、グルメや観光の楽しみも満載。

 ここでは、五感で味わう高尾山の魅力を紹介します。

●ケーブルカーやリフトなどの乗り物

 京王線高尾山口駅から歩いてすぐの場所にあるのが、ケーブルカーとリフトの乗り場です。

 ケーブルカーは清滝駅から山腹の高尾山駅まで、リフトは山麓駅から山上駅へと運行しています。どちらも山頂へ向かうルートの途中まで簡単にアクセスできるため、高尾山の楽しみ方をより手軽なものにしてくれます。

 ケーブルカーは日本一の急勾配を誇り、約6分の乗車時間で一気に標高472mまで上がることができます。眼下に広がる森や、季節によっては紅葉や桜を楽しめます。

 リフトは開放感が魅力で、風を感じながらゆっくりと上がっていく時間も贅沢なひととき。

 こういった乗り物を利用すれば、体力に自信がない方や小さな子ども連れやシニア世代でも、無理なく見晴らしの良い場所までアクセスできるので、多くの方に人気です。

●登山道中に立ち寄れる寺院・神社

 高尾山の中腹にある「薬王院」は、登山道沿いにあるちょうど良い休憩ポイントであり、同時に見ごたえのある歴史的スポットでもあります。

 真言宗智山派の大本山として1200年以上の歴史を持ち、修験道の聖地としても知られています。厳かな雰囲気の中で護摩焚きの儀式を見学できることも。

 境内には開運や縁結び、健康長寿のご利益があるとされるスポットが点在し、登山の安全を祈願する参拝者も多く見られます。

 天狗信仰が盛んで、特徴的な天狗像が登山者を見守るように立っているのも印象的です。

 道中にちょっとした歴史・文化体験が加わることで、高尾山登山がより特別な体験になるでしょう。

●登山道中に注目の自然・スポット

 高尾山の登山道には、さまざまな自然スポットが点在し、歩く楽しみをさらに引き立ててくれます。

 例えば、1号路にある「たこ杉」は、根がタコの足のようにうねった巨大な杉で、樹齢450年以上とされるご神木です。

 そのほか、吊り橋が目を引く4号路の「みやま橋」や、沢沿いの道が涼やかな6号路の「琵琶滝」も見どころの一つ。

 また、山頂近くにある高尾ビジターセンターでは、約1,500種の植物、約5,000種の昆虫、約100種の野鳥など、驚くほど多様な動植物が生息していることを知ることができます。

 自然解説板も各所にあり、植物や地形について学びながら歩けるのも高尾山ならでは。自然観察の楽しみも兼ね備えた、五感で味わう登山を楽しめます。

●高尾山周辺のレジャー施設

 登山の前後に立ち寄れるレジャー施設が充実しているのも、高尾山エリアの魅力です。

 とくに人気なのが、京王線・高尾山口駅から徒歩すぐの「京王高尾山温泉 極楽湯」。露天風呂や炭酸泉、サウナなどが揃い、登山後の疲れた体を癒すのにぴったりの施設です。

 また、駅周辺には宿泊も可能なホステル「タカオネ」や、アウトドア体験やイベントを開催する拠点「Mt. TAKAO BASE CAMP」などもあり、登山を軸にした滞在型レジャーにも対応。

 自然と触れ合いながら、ゆったりとした時間を過ごせる環境が整っています。

●高尾山周辺のグルメ・お土産スポット

 高尾山の登山後にぜひ楽しみたいのが、山ならではのグルメやお土産探し。

 名物の「天狗焼」は、もっちりした生地の中に黒豆あんが詰まった高尾限定のスイーツで、行列ができる人気の一品です。販売場所はケーブルカー高尾山駅すぐの「高尾山スミカ」で、1個250円という手頃な価格も嬉しいポイント。山頂からの帰り道にぴったりの立ち寄りスポットです。

 また、京王線・高尾山口駅付近には、八王子ラーメンや山菜そば、季節の野菜料理などが楽しめる飲食店も点在。

 食も文化もまとめて楽しめるのが、高尾山の登山旅の醍醐味の一つです。

■高尾山の登山コース・所要時間【8ルート】

地図提供:高尾登山電鉄株式会社

 高尾山には初心者から経験者まで楽しめる登山道が8コース整備されており、体力や目的に合わせて自由に選べます。

 ここではそれぞれのコースの特徴や所要時間を詳しくご紹介します。高尾山の登山ルート選びに役立つ情報が満載です。

 木の根が張り出した未舗装の道や、ぬかるんで滑りやすい場所もあります。スニーカーよりは登山靴がおすすめです。

●1号路(表参道コース)

 高尾山の1号路は「表参道コース」とも呼ばれ、高尾山の登山道の中でも最も利用者が多く、初心者や観光目的の登山者にも親しまれています。

 登山道のほとんどが舗装されており、滑りにくく歩きやすいのが特徴。沿道には売店やトイレ、休憩所などの施設が点在し、観光気分で気軽に楽しめるコースです。

 登山口からは約90頭のサルと四季の山野草を観察できる「さる園・野草園」や「たこ杉」、「薬王院」など見どころも多彩。終盤に待つ階段ゾーンを登りきれば、関東平野を一望できる山頂です絶景が広がります。

 ケーブルカーやリフトを利用すれば、体力に自信のない人でも楽に中腹までアクセス可能。

 初めての高尾山登山や家族連れ、小さな子どもとのハイキングにもぴったりの安心ルートです。

  • 難易度:★★☆☆☆(ケーブルカー・リフト利用時:★☆☆☆☆)
  • 全長:約3.8km
  • 所要時間:上り 約100分/下り 約80分(ケーブルカー・リフト利用時:上り 約40分/下り 約30分)

●2号路(霞台ループコース)

 高尾山の2号路は、「霞台ループコース」として知られる周回ルートで、ケーブルカー高尾山駅近くの霞台園地を一周するように整備されています。起伏が少なく比較的平坦な道のりのため、小さな子どもや体力に自信のない方でも安心して歩けるコースです。

 コース内は木々が生い茂り、四季折々の植物や野鳥の観察にもぴったり。とくに春の新緑や秋の紅葉シーズンは自然の彩りが美しく、のんびりと森林浴を楽しむのに最適です。

 登山というより散策感覚で高尾山の自然を気軽に楽しみたい方にぴったりのコースです。1号路と併用して歩けば、表参道から少し足を延ばした楽しみ方ができます。

  • 難易度:★☆☆☆☆
  • 全長:約0.9km
  • 所要時間:一周 約40分

●3号路(かつら林コース)

 高尾山の3号路は、浄心門から分岐し、常緑樹林の中を進む「かつら林コース」として知られています。

 静かな森の中を抜けるこのコースは、舗装されていない自然の登山道が続き、展望はあまりよくありませんが、1号路を外れて静かに山頂を目指したい方におすすめです。

 道幅はやや狭く、木の根や段差もあるため登山靴がおすすめです。全体としては急登が少なく、初心者でも楽しめるレベルです。途中の「かしき台園地」にはベンチもあり、休憩に最適です。

 野鳥のさえずりや木漏れ日を感じながら歩けるルートです。

  • 難易度:★★☆☆☆
  • 全長:約2.4km
  • 所要時間:上り 約60分/下り 約50分

●4号路(吊り橋コース)

 4号路は、高尾山の数ある登山コースの中でも特に人気の高い「吊り橋コース」として知られています。

 浄心門から右へ分岐し、最初は緩やかな下り道が続き、やがて現れるのがルートの目玉である「みやま橋」という吊り橋です。

 木々に囲まれた中に突如として現れるこの橋は、写真スポットとしても人気が高く行列ができることも。吊り橋ですがつくりはしっかりしているので、安心して開放感を楽しめます。

 コース全体はブナやカエデなどの落葉広葉樹が生い茂るエリアを抜けるので、特に新緑や紅葉シーズンにはその美しさが際立ちます。

 未舗装の道や階段もあるため、スニーカーよりは滑りにくい登山靴がおすすめ。

  • 難易度:★★☆☆☆
  • 全長:約1.5km
  • 所要時間:上り 約50分/下り 約40分

●5号路(山頂ループコース)

 5号路は、高尾山の山頂付近をぐるりと一周できる周回コースで、他の登山ルートと比べても比較的平坦で歩きやすいのが特長です。

 山頂直下に位置しており、1号路や4号路、稲荷山コースなど複数のルートと接続しているため、登り下りのルートに組み合わせて自由に活用できるのが魅力。

 コース上には案内板が設置されており、高尾山に生息する植物や地形の解説を読みながら、自然観察や森林浴をゆったりと楽しめます。

 混雑しやすい山頂を避けて、静かに高尾の自然を満喫したい方にもおすすめ。

 展望こそ控えめですが、四季折々の植生や野鳥の声が楽しめる癒しのルートです。

  • 難易度:★☆☆☆☆
  • 全長:約0.9km
  • 所要時間:一周 約30分

●6号路(びわ滝コース)

 6号路は「びわ滝コース」とも呼ばれ、沢沿いの涼やかな道を歩くことができるルートです。

 登山口はケーブルカー清滝駅の脇から始まり、琵琶滝という滝行の行場を経由しながら、両側を岩や木々に囲まれた登山道を進みます。

 ルート全体が未舗装で、歩きづらい木の根や飛び石を渡る場所もあるため、登山靴など足元を固めて滑りにくい靴が必須です。

 途中のベンチは麓からの距離や時間的にみて、休憩には最適な場所に設置されているので、一息入れるポイントの目安にしながら登るとよいでしょう。

 清々しい水の音を満喫しながら、登山を楽しめるコースです。

  • 難易度:★★★☆☆
  • 全長:約3.3km
  • 所要時間:上り 約100分/下り 約80分

●稲荷山コース(尾根コース)

 稲荷山コースは尾根づたいのハイキングが楽しめる「見晴らし尾根コース」として親しまれています。

 ケーブルカー清滝駅の脇からスタートします。寺院や滝などの見どころはありませんが、山頂までほかのコースと交差せずに一気に登れるのが特徴です。

 序盤から中盤にかけては、木の根や階段の急な登り坂が続きます。

 中間地点の稲荷山山頂には展望台があり、東京都心方面の眺望が開ける絶好の休憩スポット。その先はなだらかな起伏が続き、道幅も広くなります。スギやヒノキの木陰の中を気持ちよく歩けるでしょう。

  • 難易度:★★★★☆
  • 全長:約3.1km
  • 所要時間:上り 約100分/下り 約80分

●高尾山・陣馬山コース

 高尾山・陣馬山コースは、高尾山から小仏城山・景信山・陣馬山へと縦走する、全長15kmを超えるロングルートです。それまでの観光地的な雰囲気とは異なり、歩行距離が長く時間を要しますので、しっかりとした登山・ハイキングの準備で臨む必要があります。

 尾根伝いに連なる山々を歩く道のりは変化に富み、山頂の茶屋や見晴らしの良いベンチで休憩をはさみながら歩ける、人気ルートとして知られています。

 登山道はよく整備されており、険しい箇所はありませんので、経験を積んで「いつかは挑戦したい」ロングトレイルです。 

  • 難易度:★★★★★
  • 全長:約18.0km(高尾山山頂〜陣馬山)
  • 所要時間:約5時間20分

 

■高尾山の登山ルート一覧表とケーブルカー・リフト比較表

◼︎高尾山登山ルート 一覧表

ルート名 難易度 全長 所要時間 特徴 トイレの有無
1号路(表参道コース) ★★☆☆☆
(ケーブルカー・リフト利用時:★☆☆☆☆)
約3.8km 約100分 / 約80分(上り/下り) 舗装路・初心者向け・施設多い
2号路(霞台ループコース) ★☆☆☆☆ 約0.9km 一周 約40分 平坦・自然観察に最適
3号路(かつら林コース) ★★☆☆☆ 約2.4km 約60分 / 約50分(上り/下り) 静かな森・自然道
4号路(吊り橋コース) ★★☆☆☆ 約1.5km 約50分 / 約40分(上り/下り) 吊り橋あり・自然豊か
5号路(山頂ループコース) ★☆☆☆☆ 約0.9km 一周 約30分 周回コース・案内板あり
6号路(びわ滝コース) ★★★☆☆ 約3.3km 約100分 / 約80分(上り/下り) 沢沿い・滑りやすい道
稲荷山コース(尾根コース) ★★★★☆ 約3.1km 約100分 / 約80分(上り/下り) 尾根道・展望スポットあり
高尾山・陣馬山コース ★★★★★ 約18.0km 約5時間20分 縦走・ロングトレイル

◼︎ケーブルカーとリフト比較表

乗り物 所要時間 特徴 向いている人 運賃
ケーブルカー(清滝駅~高尾山駅) 約6分 急勾配、日本一の傾斜 年配者、小さな子ども連れ 片道:大人490円/小児250円
往復:大人950円/小児470円
リフト(山麓駅~山上駅) 約12分 開放感、風が心地よい 景色を楽しみたい人 片道:大人490円/小児250円
往復:大人950円/小児470円

 

■高尾山の登山準備|服装や持ち物など

高尾山の登山

 高尾山の登山を安心して楽しむには、事前の準備がとても大切です。

 天候やルート状況に対応できる服装や、忘れてはならない持ち物をそろえることで、快適な登山ができます。

 ここでは、高尾山登山にぴったりな装備やマナーについてご紹介します。

●登山に持っていくもの

 安全で快適な高尾山登山のためには、事前のしっかりとした準備が大切です。登山に必要な装備で臨むようにしましょう。

 まず忘れずに持っていきたいのが「飲み物」。必要な水分量は歩くコースの距離や難易度、季節によって大きく変わります。

 例えば、1号路のような歩きやすいコースでも最低500mlは用意し、稲荷山コースや6号路など運動量の多いコース、または暑い夏場には1L以上を目安にするなど、季節に合わせて多めに準備しましょう。また、行動食として塩分や糖分を摂れるもの、おにぎりやゼリー飲料などの軽食もあるとエネルギー補給に役立ちます。

 急な天候変化に備え、レインウェアもマストアイテムです。スマホ用のモバイルバッテリーや、簡易ファーストエイドキットもあると安心。帽子やサングラス、タオル、ゴミ袋なども携行をおすすめします。

 両手を自由に使えるバックパックにまとめて出かけましょう。

●登山に向いている服装

 高尾山は標高599mのいわゆる低山ですが、ウェア選びは重要です。

 1号路などの舗装コースであれば動きやすいウェアで歩けますが、それ以外のルートではアウトドアに適したウェアが安心です。

 おすすめは、レイヤリング(重ね着)スタイル。吸湿性や速乾性に優れた化繊やウール素材のウェアに、風を防げるアウターを重ねれば気温差にも対応できます。

 気温にもよりますが、春や秋は薄手の長袖、夏は通気性のよい半袖+羽織もの、冬はダウンジャケットや手袋もあると安心。特に冬は予報以上に冷え込むこともあり、降雪もあるので注意しましょう。

 また、1号路は歩きやすいですが、他のコースでは滑りやすく足元が不安定な場所もあります。安全な登山のために、滑りにくく足首をサポートする登山靴がおすすめです。ヒールやサンダルはNGです。

 自然の中でも快適に過ごせるウェアを選び、登山を楽しめるようにしましょう。

●登山で気をつけたいルール・マナー

 高尾山は年間を通じて多くの人が訪れる人気スポット。自然と快適な登山環境を守るためにも、登山者一人ひとりのマナーが欠かせません。

 まず、基本は「ゴミを持ち帰る」こと。高尾山は「ゴミ持ち帰り運動」発祥の地でもあり、登山道にはゴミ箱が設置されていません。

 次に「登山道を外れて歩かない」。植物を傷めるだけでなく、道迷いや事故のリスクにもつながります。

 また、動植物の採取は禁止されており、野生動物に餌を与えるのもNGです。ペット同伴の場合はリードを必ず着用し、ふんの処理もしっかりと。

 トイレや休憩所は、みんなが使う場所として清潔に利用することも大切です。

 高尾山の自然を守るためにも、ルールとマナーを守る行動を心がけましょう。

■高尾山の登山についてよくある質問【Q&A】

高尾山の登山

 高尾山は、登山初心者から経験者まで楽しめる人気の山です。しかし、初めて登る際には、さまざまな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

 本記事では、高尾山登山に関するよくある質問にQ&A形式で答えていきます。

Q. 高尾山は入山料などの費用がかかる?

 高尾山への入山自体には費用は一切かかりません。

 ただし、麓から中腹までの移動に便利なケーブルカーやリフトを利用する場合には、片道500〜600円ほどの運賃が必要です。

 京王電鉄では、お得な往復セット券や割引乗車券なども販売しているので、あらかじめチェックしておきましょう。

Q. 高尾山の入山時間は何時から何時まで?

 高尾山は自然公園内にあり、入山制限がないため24時間自由に登れます。

 しかし初心者は、明るい時間帯に行動するようにしてください。

 ケーブルカーやリフト、売店、薬王院などの施設は朝8時頃から夕方にかけて営業しており、季節や曜日によって終了時刻が異なります。

 登山を安全かつ快適に楽しむためにも、日の出前や日没後の登山は避け、明るい時間帯に下山するのは必須です。

Q. 登山初心者におすすめのコースは?

 登山初心者には「1号路(表参道コース)」がおすすめです。

 道のりのほぼ全部が舗装されていて歩きやすく、迷う心配もありません。

 道中には「たこ杉」や「薬王院」などの見どころに加え、売店やトイレも点在しているため、安心して登れます。

 ケーブルカーやリフトを利用すれば所要時間も短縮できます。

Q. 高尾山の周辺に駐車場はある?

 高尾山周辺には京王線高尾山口駅の近くに市営駐車場や民間のコインパーキングが複数あります。

 ただし、秋の紅葉シーズンや春の行楽時期、週末は混雑することが多く、満車も珍しくありません。

 渋滞を避けたいのであれば、公共交通機関の利用がおすすめです。

 京王線を利用すれば、新宿駅から乗り換えなし、約50分で到着します。電車でのアクセスは快適です。

■高尾山は登山初心者から上級者まで楽しめる!

 高尾山は、アクセスの良さと豊かな自然、多彩な登山コースで、初心者から上級者まで幅広い登山者に親しまれる東京屈指の山です。

 歴史ある薬王院や美しい四季の風景、ケーブルカーやグルメスポットまで、登山以外の楽しみも満載。

 装備やマナーを守って登れば、安心・快適な山歩きが楽しめます。

 日帰りでも充実した時間を過ごせる高尾山で、あなたも自然とふれあう特別な1日を体験してみませんか?