もうすぐ3月、スキーシーズンも終盤戦ですね。コロナ禍の規制も緩和され、JAPOWに惹かれて世界から日本のスキー場には多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れています。春になると上質なパウダースノーに巡り合うチャンスは減っていきますが、気持ちよく整えられた圧雪バーンは、ゲレンデ滑走の醍醐味です!
■朝イチの特権! まるでアート! コーデュロイバーン
当然ですが、雪が降らなければパウダースノーの滑走は楽しめません。圧雪、非圧雪に関わらず、ゲレンデは日射や昇温などの影響でどんどんコンディションが悪く、滑りづらくなっていきます。多くの人が滑ると、コブコブ斜面(人によってはそういう状態が好きなことも)になっていきますね。
けれど、圧雪コースであれば、朝スキー場のコースに立つと前日の荒れた状態が、まるで嘘のようにリセットされています。新しい雪が積もっていなくても、整ったグルーミングバーンは白く輝いています。
雪面をよく見ると、均一の小さな畝(うね)が並んでいます。タオルや服の生地でお馴染みのコーデュロイのように見えることから、「コーデュロイバーン」とも呼ばれていますね。朝の低い光でコントラストがついた状態は見た目にも美しく、まるでアート! つい写真を撮ってしまいます。もちろん滑り心地も上々で、スキーが上達したように快適ですよ。ぜひ朝イチの滑走を楽しんでみてください。
■職人技が光る! 裏方仕事は超高級車で
コーデュロイバーンを作るのに欠かせないのが、“圧雪車”による圧雪作業です。スノー・キャタピラーに由来してSnowCat(スノーキャット)と呼ばれることも。“ピステンバーン”という呼び方もされるくらい、圧雪車の代名詞となっているのが、ドイツ・ケースボーラー社の「PistenBully(ピステンブーリー)」です。他にもイタリアの「プリノート」や国産の「大原鉄工所」などがあります。運用に合わせてセットアップされると、その値段は一台4千万円ほどになることも。高級車も真っ青ですね。
スキー場の営業終了後、翌朝の営業開始に向けて作業が始まります。主に夜中から早朝にかけて、荒れたゲレンデを丁寧に耕します。毎朝リセットされる快適な滑走斜面は、長時間にわたるオペレーターさんの努力の結晶なのです。急斜面にはウィンチをかけて作業したりします。コースの合流や斜面の変わり目など、その時の雪質に合わせて、いかにスムーズに仕上げるかによって滑り心地が変わるので、熟練した職人技の見せ所でしょう。