「日本の雪は良い」「日本の文化が好きだ」という、海外から訪れるスキー客は以前よりも増えています。すると、海外の方に受け入れられるように、日本のスキー場のルールも以前と比べてどんどん変化していると肌で感じます。長野県北部にある「斑尾高原スキー場」では、インバウンドを受け入れる影響とユーザーの声を反映し、なんと、これまでスキー場としては「コース外」だった部分を「コースとして管理する」と発表し、多くのスキーヤー・スノーボーダーに人気のコースが生まれたのです。インバウンドがもたらしたものと、斑尾高原スキー場の魅力についてお伝えします。

■インバウンドがもたらしたスキー場の変化とは

志賀高原に訪れた多くの外国人は、スキー・スノーボードを楽しんでいるようだ(写真提供:杉村航)

 日本は四方を海に囲まれているおかげで、世界でも稀に見る豊富な降雪がもたらされます。潤沢なパウダースノーは“JAPOW(ジャパウ)”と呼ばれ、訪れる外国人スノーヤーを魅了しています。日本のスノーリゾートは国内のスキー人口の減少から、インバウンドを受け入れることを選んだスキー場は、海外のスキーリゾートの基準を取り入れ始めました。

 まず、海外(欧米諸国)の多くと日本のスキー場との大きな違いについて。海外では細かく制限はせず“自己責任”として、スキー場内でケガがあっても責任は自分自身。「この先は崖」「岩がたくさん出ている」という注意看板のみで、結構どこでも滑走できるのです。そのため、安全意識が高く、ヘルメットの着用率が高いのです。

 一方、日本のスキー場は何か問題やケガがあった場合、管理責任はスキー場に問われる文化であるため、ケガのリスクが高まるような木が生えているエリアは「コース外」として滑走禁止にしていました。このルールや文化の違いを変更していくことが必要だと考えたスキー場では、徐々に「コース外」だった部分が解放されていくようになりました。

■元々の“コース外”が大人気に! 斑尾高原スキー場

斑尾高原スキー場には木と木の間が滑れるツリーランのコースがあって人気だ(撮影:安藤穂高)
SAWAコースは自然の地形を生かした地形が魅力。立体的に滑りこなしている(撮影:安藤穂高)
斑尾高原で人気のSAWAコースを滑る松井英子(撮影:安藤穂高)
斑尾高原はコースバリエーションが豊富で様々なレベルの人が楽しめる(撮影:安藤穂高)

 斑尾高原スキー場はこの冬、3つ目の「SAWAコース」が解放されました。ここは、自然の地形でコースの最後が沢の形状になっていて、天然のハーフパイプのような地形になっています。上級のツリーランコースとして設定されています。

 かつてはコース外として滑走を禁止していましたが、ロープを越えて滑走する人が多かったそうです。ユーザーはツリーランがしたいと捉え、このエリアをコースとして滑走できるようにできないかを検討することに。木と木の間隔が狭かったり、小枝が出ていたりすると滑走の難易度が上がるため、夏の間に整備が行われました。そしてついに、SAWAコースとして滑走エリアを増やしたのでした。

 コースとして管理しているため、万が一、SAWAコース内でトラブルが起きた場合でも、パトロールが無償で救助に来てくれるとのことです。ツリーランコースに関しては、自己責任としているスキー場もある中、パトロールが来てくれるというのは、ユーザーにとっても心強いです。ケガがないように滑走には自分の力量を見誤らずに、十分に気をつけて滑りましょう。