3月も終わろうとしていますね。スキーシーズンが始まったと思ったのも束の間、あっという間に春になったように感じてしまいます。今月は気温も高い日が続き、すでに桜も開花してお花見シーズンとなっている地域も増えてきているようです。

 長野県も一気に春めいています。春スキーシーズンの始まりです! 例年より楽しめる期間が短そうなので、急いで志賀高原へ滑りに行ってきました。

■ざらめ×コーデュロイのおいしい関係

見た目にも美しいコーデュロイバーン。よく見ると、鈍く光る「ざらめ」状態だとわかる

 「コーデュロイバーン」をご存知でしょうか? 朝ゲレンデで、圧雪がかかった面をよく見ると、均一の小さな畝(うね)が並んでいます。タオルや服の生地でお馴染みのコーデュロイのように見えることから、コーデュロイバーンと呼ばれています。「グルーミング(バーン)」や「ピステン(バーン)」と言われることもあります。朝の低い光でコントラストがついた状態は見た目にも美しく、まるでアート! 程よく締まった雪は滑り心地も上々です。

 「ざらめ(雪)」は、降り積もった雪が溶け、再び凍って…… これを繰り返して“ざらざら”とした粒になった状態で、まさに「ざらめ糖」のようです。コーンスノーとも呼ばれます。自然の山でも春になると出会いやすい雪質で、柔らかく独特の滑り心地でスキーヤー、スノーボーダーを喜ばせてくれます。ただし、多くの人が滑走するスキー場では、ざらめになる頃には斜面が荒れていることが多いです。それでも、厚みのあるざらめなら、コース脇の地形を活かして立体的に滑ったり、ちょっと遊び心を満たすようなアクションを加えてみたりできて、十分に楽しい滑走ができます。

 「もし、ざらめのコーデュロイバーンを滑ることができたら……」その夢叶います! この時期、夜間に気温が下がっても氷点下にならない日もあります。例え冷え込んで早朝まで凍っていたとしても、スキー場の営業開始時間よりずっと早く日の出を迎えるのが春スキーシーズンです。太陽の角度も高く、雪面が弛むのも早いです。そのおかげで、滑走開始の朝イチから「ざらめ×コーデュロイ」の組み合わせを味わうことができるのです!

 その“えも言われぬ”感触は、筆者の拙い文章力では表現しきれません。とにかく「圧雪パウダー」にも負けない気持ち良さがあるのは間違いありません。非常に賞味期限の短い状態なので、朝イチのゲレンデでぜひ味わってください。

※圧雪パウダー:https://bravo-m.futabanet.jp/articles/-/123529

■まるで足元を掴む妖怪! ストップスノーにご用心

急斜面でもソフトな感触で滑ることができて気持ちいい!(skier:平瀬真登)

 ざらめに限らず、非常に楽しい春のスキー場なのですが、問題もあります。それが「ストップスノー」です。水分を多く含んだ雪は、やがて極端に滑りづらい状態となります。例えば、朝の1〜2本を気持ちよく滑った後、同じコースをさらに滑っていると、突然ブレーキがかかります。まるで足元を掴む妖怪が現れたようで、スピードに乗っていると非常に危ないです。転倒したり関節を痛めたり……。晴れた暖かい日にこそ現れやすいのでご用心。

 スキー場のトップからボトムまで、標高差があるようなコースや斜面の向きや傾斜が変わるような箇所では要注意です! なるべく日陰がちな滑走ラインを取ることで多少はかわせますが、「滑らないスキーは辛い」状態です。直前に誰かが滑った後をうまく利用して滑ると回避できる部分もありますが、それも限界がありますね。

 とにかく、スピードをしっかりとコントロールして、飛ばしすぎないように注意するしかありません。状態は刻一刻と変化していきますし、完全に溶けて“しゃばしゃば”状態になってしまえば、少し滑りやすくなるかもしれません。