東京ではサクラの開花も確認され、いよいよ春本番となってきました。関東地方は、3月下旬には夏を思わせるような陽気に恵まれ、早春の花たちも硬かったつぼみを次々にほころばせました。
旬が短いカタクリもその一つ。カタクリは、もともとは首都圏の里山でも普通に見られた植物だと思いますが、現在では、希少な種になってしまいました。
南関東最大規模のカタクリの群生地が神奈川県相模原市にあると聞き、初めて訪れてみました。
■城山かたくりの里


相模原市緑区にある「城山かたくりの里」は、東京都町田市の最高峰である草戸山のふもとにあります。高尾山口駅から南側に向かって歩き、草戸山山頂から城山湖を経由して東に延びるハイキングコースを進むと、そこに出ることができます。
付近では畑作も行われており、のどかな里山の風景が広がっていて、思わず深呼吸をして春の空気を体全体に染み込ませたくなるような場所です。


「城山かたくりの里」は、個人所有の敷地内にあり、3月下旬から4月上旬には、約30万株ものカタクリが約3,000平方メートルの斜面を埋め尽くします。その方が山の下草などを刈り取って整備したところ、次々とカタクリが芽を出し、それをあたたかく見守って保全してきた結果、このような規模になったとのことです。
「かながわの花の名所100選」にも選定されており、期間限定で一般公開されるこの時を見逃すわけにはいかないと、多くの観光客やハイカーが訪れます。
■多摩丘陵の斜面を紫色に染めるカタクリ


取材日(3月27日)は、初夏を思わせるかのような気温でした。開花が進んでいたカタクリも、ちょうどこの日に満開となりました。
カタクリは、生息環境の悪化や乱獲等のため、保護されていない場所をのぞいて自生地は激減していて、神奈川県では絶滅危惧種にも指定されています。「城山かたくりの里」は、その株数の多さから、南関東最大の群生地とされており、貴重なスポットとなっていて、多摩丘陵の斜面を覆い尽くすカタクリは、見る人を圧倒します。