豊富な知識と経験を持ち、日々たくさんの登山やキャンプ道具と接しているアウトドアショップの店員さんに、いま注目の製品を紹介していただくシリーズ。今回は、「WILD-1 ゆめが丘ソラトス店」のキャンプ担当、中山裕麻さんに「防災にも役立つアウトドアアイテム」をテーマに「ガスバーナー」のおすすめを挙げていただきました。
■「CB缶」を使っているバーナーを選びたい
ガスバーナーは、キャンプや登山でお湯を沸かしたり、調理をしたりする際に欠かせないアイテムです。アウトドアによく出かける人ならみなさん持っていると思いますし、複数台を所有している人も多いことでしょう。手軽に火が使えるアイテムなので、もちろん非常時にも役立ちます。
基本的にはどんなタイプのバーナーでも、非常時には重宝するはずです。でも、防災を考えたバーナー選びをするなら、着目してほしいポイントがあるそうです。「それは、ガス缶(ガスカートリッジ)の種類です。『CB缶』と呼ばれるガス缶を使っているタイプを選んでいただきたいんです」(中山さん)

■誰にでも使いやすいという安心感があるCB缶
アウトドア用のガスバーナーに使われるガス缶には、「CB缶」と「OD缶」という2つのタイプがあります。CB缶は「Cassette Gas Bombe」、OD缶は「OutDoor」の略で、バーナーを購入する際にはいずれかのタイプに対応したものを選ぶことになります。
CB缶は、一般的な家庭用卓上コンロなどでも使われる細長の円柱形で、いわゆる「カセットガス」です。一方のOD缶は、幅が広くてややずんぐりとしたタイプ。「OutDoor」という名称のとおり、アウトドア用途を考えた機能性を持っているため、キャンプや登山ではOD缶のほうがよく使われています。
中山さんは、「非常時に使うことを考えると、カセットガス(CB缶)を使ったタイプは、誰にでも使いやすいという安心感があるんです」とメリットを教えてくれました。そして、おすすめとして挙げてくれたのが、SOTOの「レギュレーターストーブ ST-310」です。

■「マイクロレギュレーター」があるから火力も安定
「レギュレーターストーブ ST-310」 は、畳んだ状態ではとてもコンパクトになるので、持ち歩くのにもぴったり。収納スペースを取らないので、バッグにもサッと入れられます。でも、「広げるとゴトク部分は外径130mm(内径47mm)とけっこう大きいので、鍋ややかんを安定して置くことができます」(中山さん)


操作もとても簡単で、つまみを回して点火スイッチを押すだけ。調整つまみが持ちやすいので、火力調節もスムーズにできます。

このモデルの一番の特徴は、「マイクロレギュレーター」を搭載している点。これは、簡単に言うと、気温が低いときでも安定した火力を保つための機構です。
「ガス缶は寒い場所で使うと火力が弱くなってしまいますが、気温5~25℃という環境下でも、マイクロレギュレーターが常に火力を維持してくれるんです」(中山さん)。特にCB缶は気温による影響を受けやすいため、マイクロレギュレーターは必須と考えましょう。
■オールシーズンに対応したガス缶を選びたい
火力に関しては、ガス缶の性能も関係してきます。SOTOのガス缶には、「パワーガス」と「レギュラーガス」などがありますが、オールシーズンに対応した「パワーガス」がおすすめです。「レギュラーガスですと、寒い時期には火力が弱い、火がつかないなどの問題が生じる心配がありますので、パワーガスを備蓄しておきましょう」(中山さん)

キャンプや登山では、夜になるとけっこう気温が下がります。また、災害は季節や時間に関係なく、いつ起こるかわかりません。どんなときでも対応できるタイプの燃料を用意しておきたいですね。
■ガス缶を使う上での注意点も知っておきたい
また、ガス缶の装着部には反射板が装備されていて、「ゴトクにのせた鍋からの照り返しでガス缶が高熱にならないように防いでくれているんです」(中山さん)。これは家庭用の卓上コンロでも言えることですが、大きな鍋やフライパンがガス缶の上にかぶっていると、ガス缶が熱くなって爆発する危険性がありますから、十分に注意しましょう。

なお、注意してほしいのは、使用するガス缶のメーカーです。カセットガスは規格上は形状が同じで互換性があるとされているため、どのメーカーのものを使ってもOKと思いがちですが、メーカーでは他社製品を使うことは推奨していません。保証対象外となってしまうので、必ずSOTO製のものを使うようにしましょう。
アウトドアでは言うまでもなく必須のガスバーナーですが、非常時の備えとしても応用しやすいタイプを選んでおくといいでしょう、便利なCB缶を使うSOTOの「レギュレーターストーブ ST-310」はその筆頭候補と言えそうです。
【商品情報】
レギュレーターストーブ ST-310(SOTO)
参考価格/7,480円(税込)
素材/ステンレス(バーナー/器具栓つまみ/ゴトク)、樹脂(ボンベホルダー/点火スイッチ)
サイズ/幅166mm×奥行き142mm×高さ110mm(使用時・本体のみ)、幅140mm×奥行き70mm×高さ110mm(収納時)
重量/約330g(本体のみ)
発熱量/2.9kW(2,500kcal/h)※ST-760使用時
使用時間/約1.5時間 ※ST-760を1本使用時
使用燃料/SOTO製品専用容器(ST-711/ST-712/ST-760/ST-700)
https://soto.shinfuji.co.jp/products/st-310/
【取材協力】
WILD-1 ゆめが丘ソラトス店(神奈川県横浜市泉区ゆめが丘31番地 ゆめが丘ソラトス1 2F)
https://www.wild1.co.jp/shop/yumegaoka/
中山裕麻さん
プロフィール/大型テントの設営、液体燃料のランタンなど手間のかかる作業が大好きというWILD-1のキャンプ担当。幼少期からキャンプに慣れ親しみ、最近は家族や友人とのグループキャンプを楽しんでいる。手芸が得意という一面も!
