豊富な知識と経験を持ち、日々たくさんの登山&キャンプ道具と接しているアウトドアショップの店員さんに、いま注目の製品を紹介していただくシリーズ。今回は、石井スポーツ登山本店の難波花英さんに「登山靴選び」をテーマに「はじめて履くハイキングシューズ」のおすすめを挙げていただきました。

■しっかりとした機能を備えたシューズを選びたい

 登山デビューをするときには、目的に合わせたふさわしい装備をあれこれと揃える必要があります。そんな中で最重要なもののひとつが、登山靴でしょう。

 どんな山に行く場合でも、安全な歩行へとサポートしてくれる機能を備えた登山靴は非常に大切な役割を持っています。これから登山を始めようとしているなら、妥協することなく、しっかりとした機能を備え、自分の足にぴったりフィットするシューズを選びましょう。

とにかくたくさんの種類がある登山靴

 でも、登山靴はとにかくたくさんの種類があるので、選ぶにしてもどう選んだらよいのか、悩んでしまいますね。「では、たくさんある中から、はじめての方におすすめのモデルをご紹介しますね」と、難波さんは少しタイプの異なる2つのシューズを挙げてくれました。

■分厚いソールと剛性の高さが特徴の「レネゲード X GT MID」

 ひとつめは、LOWA(ローバー)の「レネゲード X GT MID」です。ローバーは、1923年創立という100年以上の歴史を持つドイツの超老舗ブランド。ひとつひとつのパーツも含め、丁寧かつ丈夫に作られていて、安定感が高いのが特徴です。

ドイツの超老舗ブランド、ローバーの「レネゲード X GT MID」

 「レネゲード X GT MID」は、商品名に「MID」と入っていますが、足首を覆う部分のフックが2つあり、ハイカットタイプに匹敵するやや高めの作りになっています。「足首をしっかり固定してくれるので、とても安定感があります。最初は高尾山に、次は奥多摩、丹沢へと、登山をステップアップしていきたい人にぴったりです」(難波さん)

 ソールが分厚くて、剛性が高いのも特徴。アウトソールの溝が深く、泥はけがいいのもメリットです。「このソールのおかげでグリップ性も高まり、安心して歩けますよ」と難波さん。確かに、さすが老舗ブランドと思わせる、しっかりとした作りになっています。

溝が深くて、泥はけがいいのもメリット

■ゆったりめの作りで日本人の足に向いているブランド

 アッパーには合成皮革を使っていて、こちらもけっこう硬さがあります。硬いと聞くと履きにくそうな印象を受けますが、「サイズ感がゆったりしているので、締め付けられるような感じもなくて、すごく履きやすい」(難波さん)そうです。

硬さはあるが、サイズ感はゆったりで履きやすい

 つま先やかかとの部分にはヌバック調の革が使われていて、やわらかく、なじむようになっています。日本人の足は幅が広くて甲が高いなどと言われますが、このブランドはそういった人にも向いているそうです。

 さらに、「かかと部分のフレームは高さもあって、キュッとサポートしてくれるので、かかとのブレやねじれが起こりにくくなっています」(難波さん)。こういった安定性の高さが、歩行をしっかりとサポートしてくれるんですね。

フレームも高く、しっかりサポートしてくれる