各地の高山が雪に閉ざされる1月は、首都圏近郊の低山を気持ちよく歩ける季節です。空気が澄み、木々の葉が落ちることで、春から秋には見られなかった展望が楽しめるのも、この時期ならではの魅力でしょう。
そんな冬にこそ歩いてほしい低山のひとつが、山梨県甲府市にある要害山(ようがいさん)です。今回は歴史ロマン溢れる要害山と、その奥に広がる神秘的な森を巡るハイキングコースの見どころを紹介します。
◼️山梨百名山のひとつ「要害山」
要害山は、甲府駅から北に約5kmの場所に位置する標高780mの低山で、「山梨百名山」にも選ばれています。
登山口には約20台分の駐車場があり、公共交通機関の場合は、甲府駅北口から麓にある積翠寺までバスで約15分。本数は少なめなので、事前に時刻表をチェックしておきましょう。タクシー利用の場合、料金はおよそ2,000〜3,000円です。
要害山の名は、1520年に武田信虎公が緊急時に立てこもるための詰城として、要害城を築いたことに由来します。「要害」とは、地形が険しく攻めにくい場所を意味する言葉。現在、城は残っていませんが、登山道を歩くと、山腹から山頂までそこかしこに山城の遺構を見ることができます。
登山口から山頂までは、ゆっくり歩いても30分ほど。短時間ながら、歴史好きでなくとも往時の城の構造がはっきりと思い浮かべられるのが、この山の面白さです。敵の侵入を防ぐために築かれた土塁や自然石を用いた石垣、横移動を制限するための竪堀跡、通路を狭めた門跡などを眺めていると、この城がいかに攻めづらかったかが容易に想像できます。
山頂は平坦に整地されており、東西約73m、南北約22mの広さがあります。この要害城は、信虎、信玄、勝頼の3代にわたり、約62年間、武田家の本拠地として機能していたと伝えられています。
◼️さらに奥へ。神秘の森に佇む「深草観音」
要害山を往復するだけでは歩き足りないという方は、ぜひそのまま奥へと足を延ばしてみましょう。分岐には看板が立っているので、「深草観音(ふかくさかんのん)」の表記を目印に進みます。
次なる目的地「深草観音」。別名「岩堂観音」とも呼ばれ、高い岩壁を穿って作られた観音堂で知られるパワースポットです。
要害山の山頂からは1時間ほど、針葉樹の林を進んでいくと、突如として岩肌が露出した空間が現れます。