豊富な知識と経験を持ち、日々たくさんの登山&キャンプ道具と接しているアウトドアショップの店員さんに、いま注目の製品を紹介していただくシリーズ。今回は、石井スポーツ登山本店の難波さんに「登山靴選び」をテーマに「ハードなシーンでも安心して使えるマウンテンブーツ」のおすすめを挙げていただきました。
■岩場や縦走でも安心して使えるサポート性
多彩な種類が揃っている登山靴ですが、どれもそれぞれに得意とする分野を持っています。もちろん、中にはハードな場面で活躍してくれる“高いサポート性”を持つシューズもあります。
こういったモデルなら、標高が高く険しい岩稜帯や、何日もかけて登山をする場合にも対応できるのです。「岩場のある日帰り登山でもOKですし、いずれは標高2,000m以上でテント泊や縦走を目指すなど、ステップアップしていきたい方におすすめします」と難波さん。岩場の多い山に行く人や、重荷を背負った長期縦走をする人に人気が高いそうです。
オールラウンドに履くなら、基本的には硬めの靴が向いています。「ソールが硬いとフラットに立てるので、足の筋力の消耗も減らせますし、安定感も高いです」(難波さん)。そして、おすすめに挙げてくれたのが、LA SPORTIVA(スポルティバ)の「トランゴ アルパイン GTX」と、SCARPA(スカルパ)の「ゾディアックテック GTX」という2モデルです。
■岩場に対応できる「トランゴ アルパイン GTX」
まず、スポルティバの「トランゴ アルパイン GTX」は、頑丈で機能性の高いマウンテンブーツと呼ばれるカテゴリーのシューズです。険しい岩場が連続するような岩稜帯やアルプス縦走といった山行にも対応できます。
今年の春に登場したモデルで、「軽量でありながら、ソールはしっかりと岩場に対応できる硬い作りになっているのがポイントです。新しいトランゴシリーズの顔になるモデルと言われています」(難波さん)
■足首が動かしやすく、ソールの剛性やグリップ力も高い
「トランゴ アルパイン GTX」は、かかと部分がハイカットタイプとなっていますが、「3D Flex System Evo テクノロジー」という機能により、足首部分の可動性を向上させています。くるぶしの部分がちょっと盛り上がっていることで、「膝を曲げたときに、足首も一緒に自然に曲げられる」(難波さん)ようになっているのが特徴です。
「足首が自然に動かせるので、斜面に対して足の裏をフラットに置けるのがメリットです。安定して足が置けることで、転倒や滑落事故などを防げる歩き方が可能になります」(難波さん)。アウトソールには、接地面を斜めにした「インパクトブレーキシステム」が採用されていて、よりブレーキがかかるしくみです。
さらに、つま先部分には「クライミングゾーン」というのがあって、岩場で体重をかけやすくて踏ん張りやすいように、ちょっと広めにフラットになっています。
足首が動かしやすくて、ソールの剛性やグリップ力も高く、それでいて軽量化も実現している「トランゴ アルパイン GTX」。難波さんは「全体的にうまくバランスが取れたモデルなんです」とまとめてくれました。