ゴールデンウィークに入り、春スキーを楽しんでいる人も多いだろう。連休をもって今シーズンの営業を終了するスキー場も多い。

 豊富な積雪に恵まれた2021-22シーズンだったが、放っておけば春までゲレンデコンディションを維持することはできない。各スキー場の懸命な努力が、安全で快適な滑走に結びついている。

■悩ましい! 三寒四温の春スキーシーズン

4月後半の妙高「赤倉観光スキー場」。この時点ではスキー場下部まで十分な積雪があった

 3月の急激な気温上昇は、当然一気に雪溶けを進ませた。寒の戻りで一度落ち着いたものの、4月にも初夏のような数日間が続き、スキー場関係者を悩ませていた。

 さらに4月下旬からは、何度もまとまった雨が降っていることで融雪のスピードは加速している。南からの暖かい風も影響が大きい。雪に対しては、まるでドライヤーを当てているくらいの温風だ。

■ゲレンデの状態を保つ! 「雪出し」作業

ゲレンデの雪が減りそうな箇所へ、ひたすら雪を運ぶ圧雪車

 ゲレンデの雪の厚みは圴一ではない。地形や方角などによって、雪の着き方(積もり方)や融雪具合がまちまちだからだ。薄くなった箇所は融雪のスピードが一層増してしまう。

 安全で快適なゲレンデ状態を維持するために必要なのが、「雪出し作業」! 営業するコースの外から圧雪車で雪を運び、必要なところへ雪を入れていく。

 ただし、この作業も雪が残っていないと困難を極める。今シーズンは豊富な積雪のおかげで早めに処置を施すことができ、来場者は悠々と春スキーを楽しめていた。

■まだまだ滑走可能! 積雪量は昨年の1.5倍

麓から見た白馬「八方尾根スキー場」の様子。オープンしているコースには十分に雪が残っている(2022年4月28日撮影)

 志賀高原の「焼額山スキー場」は現状で昨年の1.5倍の積雪量があるという。これはトップシーズンの豊富な積雪もさることながら、シーズン途中から、例年雪溶けしやすい箇所(斜面変化など)に雪を入れたり、圧雪車の作業でも雪を削り落とさないようにし、さらに高密度の溶けにくい雪になるように圧雪作業を進めていた賜物だ。

 大型連休終了とともに営業が終わってしまうのが名残惜しいが、冬が訪れ、次のシーズンが始まるまで、しばらくの辛抱だ……。