■アッパーがやわらかめの「ゾディアックテック GTX」
もうひとつが、スカルパの「ゾディアックテック GTX」です。スカルパは、世界的にとても知名度が高いイタリアの老舗登山靴ブランド。こちらも、岩稜帯やアルプス縦走などでもハードに使えるシューズです。
先の「トランゴ アルパイン GTX」と比べると、アッパーがやわらかめで、足首部分もやや低い作りになっています。そのため、足首がとても動かしやすいのが特徴です。
「ソフトで履きやすいため、アルプスの中でも初級ルートに行く人にも向いているほか、アプローチシューズ(岩場でクライミングする人が移動用に履くためのシューズ)のような特徴も取り入れているため、上級者でも活用できます」と難波さん。幅広い層がターゲットになるモデルなんですね。
■ソールが薄いから指先の感覚が敏感に感じ取れる作り
アッパーはやわらかいですが、アウトソールは硬くて、岩場でもしっかりと立ち込みやすい作りになっています。「実は、ソールはけっこう薄いんです。岩に立ったときに自分の足先感覚が、より敏感に感じ取れるようになっています」(難波さん)。細かく足を動かしやすいように、あえて薄くしてあるんですね。もちろん、こちらにも「クライミングゾーン」が設けられています。
さらに、ミッドソールには、岩場の凹凸からくる衝撃を吸収してくれるオリジナルのソールを使っているそうです。「そのため、岩場でずっと歩いていても疲れにくいというメリットがあります」(難波さん)
ちなみに、写真のオレンジはメンズ用で、ウィメンズ用はブルー系の色となっています。
■どんな登山をするのか、目的に合わせたチョイスを!
このように、ハードな岩稜帯登山でも安心して履けるガッチリ硬めのシューズと、比較的ライトに履けるけど機能もしっかり備えたシューズという、異なる2タイプを挙げていただきました。
いずれのモデルも、小屋泊やテント泊で2、3日を山で過ごす人、標高の高い山に挑みたい人など、オールラウンドに活躍してくれます。「どんな登山をするのか、今後の目的によって選択してください」(難波さん)
この2モデルは、「こだわり派」のためのセレクトです。カラーもデザインもかなり洗練されていてカッコいいモデルなので、ぜひ実物をチェックしてみてください。
【商品情報】
トランゴ アルパイン GTX(LA SPORTIVA)
参考価格/69,300円(税込)
アッパー素材/PERWANGER 防水レザー1.8mm
サイズ/23.1~26.7cm(ウィメンズ)、24.3~29.2cm(メンズ)
高さ/ハイカット
https://www.sportivajapan.com/product-mountain/trangoalpinegtx/
https://www.yodobashi.com/product/100000001009040627/(ウィメンズ)
https://www.yodobashi.com/product/100000001009040619/(メンズ)
ゾディアックテック GTX(SCARPA)
参考価格:56,650円(税込)
アッパー素材:ペルワンガー 耐水スエード1.6~1.8mm+ファブリック
サイズ:23.0~26.5cm(ウィメンズ)、25.5~29.1cm(メンズ)
高さ:ハイカット
https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gSC22113001400/
https://www.yodobashi.com/product/100000001008435576/(ウィメンズ)
https://www.yodobashi.com/product/100000001008435503/(メンズ)
【取材協力】
石井スポーツ 登山本店(東京都千代田区神田神保町1-6-1 タキイ東京ビル2階)
https://www.ishii-sports.com/shop/honten/
難波花英さん
プロフィール/大学時代にワンダーフォーゲル部に所属し、登山に夢中になる。最も感動した山は、日本三霊山である白山(石川県)。シューズ選びの専門家「JAFT認定 スポーツシューフィッター」の資格を持ち、日々、登山の魅力や装備の重要性を多くの人に発信している。