■広隆寺の門前は、南大門と路面電車が同時に写せる撮影スポット!

 今回取り上げる最初のスポットは、蚕ノ社駅の木嶋坐天照御魂(このしまにますあまてるみたま)神社。蚕ノ社は当神社の通称で、本殿のとなりに蚕養(こがい)神社が鎮座しているため、こう呼ばれている。

木嶋神社正面

 創建は不明だが7世紀初頭だとする説があり、当時、嵯峨野や太秦を拠点とした渡来系氏族の秦氏に由来する神社だと考えられている。秦氏は大陸や朝鮮半島由来の高度な技術を日本に伝え、養蚕と機織、染色の伝来も秦氏によるものとする。そんな秦氏の祖神を祀ったのが蚕養神社だという。

 また木嶋神社には、一風変わった鳥居が建てられている。三柱鳥居と呼ばれるもので、柱3本を三角形に組んだ珍しい形式だ。ただし起源や建立には諸説があり、詳細の真相は不明である。

三柱鳥居

 蚕ノ社の次の駅が太秦広隆寺駅。徒歩で10分弱なので、歩いても近い場所にある。線路沿いにある広隆寺も秦氏に縁のある寺院で、603年もしくは622年の創建とされ、京都市内では最古の寺といわれている。数多くの国宝や重要文化財が保管されていて、とくに木造弥勒菩薩半跏像が有名だ。

 なお、嵐山本線は西大路三条から葛野大路三条交差点、嵐電天神川駅から蚕ノ社駅、太秦広隆寺駅から広隆寺の門前付近までは専用軌道ではなく併用軌道。つまりは路面電車だ。嵐山本線は大阪の阪堺電車、滋賀の京阪大津線と並ぶ、関西三大路面電車の1つ。とくに広隆寺の門前は、南大門と路面電車車両が同時に写せる撮影に最適なスポットでもある。金剛力士像が安置された南大門の堂々たる姿と、京紫のちっちゃな電車がおりなす姿は、京都ならではといえるだろう。

南大門の堂々たる姿と京紫のちっちゃな電車がおりなす姿は、京都ならでは

【この項つづく】