■古市駅から河内長野駅までの支線

 大阪府の南東部、南河内と呼ばれるエリアは6市2町1村で構成されている。そのうち、羽曳野市と藤井寺市、河内長野市の中心部を結ぶのが近鉄長野線だ。

 長野線は1898年に河陽鉄道という会社が、古市~富田林間を開業させたのがはじまり。翌年に河陽鉄道は河南鉄道に改編され、1902年に長野駅(現 河内長野駅)までを全通させた。

 古市駅から河内長野駅までの距離は約12.5km。路線の起点は古市駅だが、南大阪線と接続されているので大阪阿部野橋駅からの直通電車も走っている。その古市駅があるのが、羽曳野市である。

■古市駅にもっとも近い白鳥陵古墳

 古市といえば、世界遺産にも登録されている古墳群が有名だ。駅の近辺にも巨大な前方後円墳が点在していて、もっとも近いのが白鳥陵古墳(軽里大塚古墳)。距離にして約450m、徒歩約6分の場所にある。古墳の北側に通じているのが、日本最古の官道とされる竹内街道だ。

白鳥陵古墳の墳丘と周濠

 白鳥陵古墳の被葬者とされているのは日本武尊(やまとたけるのみこと)で、第12代景行天皇の皇子である。父に命じられて九州の熊襲を討伐したり、東北の蝦夷を征伐したりするが、最後は都に戻れず病没するという悲運の英雄である。

 そんな日本武尊は白鳥になって都を目指し、途中にとどまった場所の1つが古市。白鳥陵古墳という名称は、この「白鳥伝説」にもとづいている。

 この伝説に関連する場所は、もう1つある。古市駅の東側にある白鳥神社である。

白鳥神社本殿

 創建は不明だが、もとは白鳥陵の頂に鎮座し、伊岐宮(いきのみや)と呼ばれていたという。主祭神は日本武尊と素戔嗚命(すさのおのみこと)、稲田姫命(くしなだひめのみこと)の3柱。なお、「羽曳野」という地名も、日本武尊が「羽を曳くように再び飛び去った」という話に由来するという。