■婚活相談所のある長駅 

 北条鉄道の沿線は田園風景がひろがっている。民家の集まっているところや、交通量の多い道路が近くに通じている箇所もあるが、基本的には田んぼと畑。しかし、終着の北条町駅が近くなると、その様子が一変する。

 そのことを紹介する前に、前回の続きの長駅である。

 駅舎は民家の並ぶ中にあり、駅を中心として町ができあがったという印象を受ける。開業は1915年。当時のままの姿を今に伝え、こちらも有形文化財に登録されている。

長駅の駅舎

 ノスタルジックな造りも特徴的だが、ほかと違うのは「駅ナカ婚活相談所」が設けられている点だ。

駅長室に設けられた婚活相談所

 2015年に開設されたという相談所は、ボランティア駅長が駅長室で結婚の相談を受け付けてくれるというもの。メディアでも紹介されているので、ご存じの方も多いだろう。完全予約制なので、気になる人は北条鉄道か、NPO法人「婚サポ」のサイトをご覧いただきたい。

■モダンな外観の播磨横田駅

 長駅の次は播磨横田駅。距離は約2km、徒歩約25分だが、次の列車が来るまで30分弱なので歩くことにする。途中で列車に追い抜かれるのもしゃくなので、少し早足で進むと20分で到着した。

播磨横田駅の駅舎

 今までの駅とは違うモダンな外観。駅舎内はギャラリーとなっている。

 現在の駅付近には1916年に横田村停留所が開設されたが、1921年に営業が休止され34年に廃止。1961年10月に国鉄の横田仮乗降所として復活し、12月には播磨横田駅に昇格。現在の駅舎は2014年に完成したものだ。ボランティア駅長による「小さな図書館」があり、フレーム画を描く活動やコントラバス演奏会も開かれるという。

 長駅からは相変わらずの田園風景であり、その中を小さな列車が走る。

長駅から播磨横田駅に向かう列車

 播磨横田から北条町までは約2.6km、徒歩で約30分。列車も来たので、それに乗る。すると、徐々に車窓の風景が一変。郊外型の都市へと様変わりする。北条町駅の駅舎も現代風である。

北条町駅の駅舎