■ 道明寺駅から道明寺天満宮へ
私鉄として日本最長の路線距離を誇るのが近畿日本鉄道(近鉄)だ。総営業距離は501.1キロ。そんな近鉄路線のなかでも、ケーブルカーを除いて最短路線なのが「道明寺線」である。
道明寺線の路線距離はわずか2.2km。駅の数も道明寺駅と柏原南駅、柏原駅の3駅しかない。起点となる道明寺駅は、その名のとおり道明寺の最寄り駅だ。
道明寺の創建は594年。推古天皇の時代であり、仏教が日本に公伝してから数十年しかたっていない古刹である。
まずは、その道明寺を目指す。商店街を抜け、しばらくすると木々の生い茂った場所が見えてくるが、ここは道明寺ではなく道明寺天満宮。敷地にそって歩くと、いわれのありそうな石碑を見つけた。
亀の上にある石碑には「八島君之廟窟碑」とある。八島君とは「土師八嶋(はじのやしま)」のことで、八嶋は道明寺が建立される際に自宅を提供した人物だ。その墓石が朽ちたので、1740年に再建されたのが、この碑らしい。
その右には「夏水井(げすいのい)」という井戸があり、40歳の菅原道真がこの地に滞在したとき、水をくんで五部の大乗経を写した井戸だと伝わる。
さらに、その横には復元された埴輪の窯跡。
かつて近辺には埴輪を焼いた登り窯が20基以上あり、市民の要望を受けて復元したとか。窯の中には埴輪が置かれていて、なかなか愛らしい。