■ 淀屋橋から三井住友大阪本店ビル

 江戸時代の大坂経済を支えた蔵屋敷だが、明治時代に入るとその役目を終える。蔵屋敷は廃絶され、また大名に多額のカネを貸し付けていた商人も没落してしまう。大坂は風前の灯火状態におちいってしまうのだ。

 しかし、そんな大坂(大阪)の復興に寄与したのも蔵屋敷跡だ。中之島界隈にあった跡地は払い下げられ、大阪の様々な分野の中枢を担う建物が設立される。前回紹介した大阪市役所が現地に移転したのは1921年だが、それまでは堂島にあった。大阪高裁の前身である大阪上等裁判所は1890年の移転で、それまでは薩摩藩蔵屋敷の跡地に位置していたのだ。

 金融業として中之島界隈に進出したのが住友銀行(現三井住友銀行)である。

三井住友銀行大阪本店ビル

 住友銀行の創業は1895年。淀屋橋にほど近い大阪本店ビルは1926年に第一期、1930年に第二期工事が完成したものだ。

 京阪本線は淀屋橋駅が起点で、中之島線の大江橋駅は徒歩で約3分の場所にある。淀屋橋駅から地上に上がって淀屋橋をわたり、大江橋の手前を左に曲がると大江橋駅の入り口がある。

 長い階段を降りて地下へ。取材日が日曜日だったということもあってか、人の姿はほとんど見えない。

大江橋駅の構内

 閑散とした駅の構内にテナント用のスペースも見受けられるが、入居している店舗はない。平日ならば、もう少しは人通りもあるのだろう。