■戦後に廃止された鐘紡前駅跡
JR兵庫駅から和田岬線に沿って歩く。工場や倉庫などが立ち並ぶ中に、マンションや戸建てなどの住居はあっても、休日なので人の姿やクルマの通行量は少なく、もちろん電車も走っていない。そんな閑散とした界隈だが、兵庫運河を渡ると様相が変わってくる。
まず、鐘紡前駅があったとされる場所を訪ねてみる。
鐘紡前駅は、その名のとおり鐘淵紡績(現クラシエホールディングス)兵庫工場への通勤の便を図って1912年に開設。しかし神戸大空襲などによって工場は甚大な被害を受けて閉鎖となり、1946年ごろに鐘紡前駅も休止され、1962年には正式に廃止となった。
ネットでは廃止後のホーム跡地の画像や車窓からも確認できるとの情報がアップされているが、現在はほとんど痕跡が残されていない。
■にぎわいを見せ始めるノエビアスタジアム神戸界隈
この辺りまでくると、住居や店舗も増えてくる。とくに目を引くのが、特徴のある外観が印象的なノエビアスタジアム神戸だ。和田岬駅からは6分ほどの距離があるが、ちょっと寄り道。
ノエビアスタジアム神戸はJリーグチーム、ヴィッセル神戸のホームスタジアムであり、収容人数は3万132人。2002年のFIFAワールドカップでも使用され、サッカーのみならずラグビーやアメフトなどの試合会場となり、2019年ラグービーワールドカップでも4試合が行われている。
スタジアムの前には幹線道路が通り、飲食チェーンの店舗や家電量販店などの大型店舗も目立つ。人やクルマの通行量も増え、街はにぎわいを見せている。なお、スタジアム前の道路の地下には神戸地下鉄海岸線が通り、ダイヤは1時間6本ほど。住民はJRではなく、もっぱらこちらを利用しているようだ。