■京都御所から紫式部の邸宅跡へ

 御所の観覧を終えて、ふたたび清和院御門から御苑の外へ。寺町通をさらに北へ進むと、お寺の山門が見えてくる。この寺が、紫式部ゆかりの廬山寺(ろざんじ)だ。

 山門は2つあり、南門の前には「紫式部邸宅址」の石碑、北側の門にも「源氏物語執筆地」「紫式部邸宅址」と墨で書かれた看板が掲げられている。

廬山寺北側の山門
本堂の入り口にある紫式部像

 創建は938年だが、現在の場所に移されたのは豊臣秀吉が寺町の建設事業を行なった1573年ごろ。当時、秀吉が築いた「御土居(おどい)」という京都の洛中と洛外を区分する土塁も、廬山寺の境内奥に現存している。

墓地の奥にある御土居の石碑

 寺院が移転される前の一帯は中川と呼ばれ、紫式部の曽祖父藤原兼輔の邸宅が建てられていた。紫式部はこの邸宅で幼少期を過ごし、また父の赴任先から京に戻ってからは、結婚生活や育児、執筆活動を行ったとされている。