■レトロな教会が印象的な「旧川口居留地跡」
阿波座交差点から地下鉄へ戻ろうとも思ったが、近くに大阪ではまれな場所があったのを思い出して歩くことにする。それは「川口居留地」だ。明治時代初期に設けられた外国人居留地といえば、神戸や横浜が有名だが、実は大阪にもあったのだ。
阿波座ジャンクションの下から歩いて約8分。木津川の近くに旧川口居留地跡はある。シンボルなのがレンガ造りの「川口基督教会」だ。
1868年、明治政府は大阪港を開港。設けられたのが川口居留地だったが、1899年には閉鎖となる。当時の建物は現存せず、川口基督教会も1920年の竣工だ。しかし、教会と向かいに建つ近代建築が、レトロな雰囲気を醸している。
■意外な場所にある「松島新地」
阿波座駅から離れてしまったし、次の九条駅までは15分ほどなので、再び歩く。なお、地下鉄中央線は九条駅から地下ではなく高架駅となる。
国道172号線、通称「みなと通」をどんどん進む。すると「日本一Coffee」というシックな喫茶店が建つ角から西側に、興味深い看板があった。「松島新地」である。
松下新地は「大阪五大新地」の一つで、残りは飛田新地、今里新地、信太山新地、滝井新地。最大規模である飛田新地と比べるとこぢんまりとした印象はぬぐえないものの、それらしき建物が並び、昼間から営業しているところもある。その建物の中で何が行なわれているかは、ここでは差し控えさせていただく。
なお、新地の横にはアーケード通りの商店街があり、買い物に行く奥様や子どもたちの姿も多い。新地という「非日常」のすぐ側にある商店街という「日常」。なかなか感慨深い。