■繁華街のどまん中に鎮座する御津宮

 坐摩神社からさらに南へ4分ほど歩くと、御堂筋に面して鎮座しているのが難波神社だ。

 創建は第18代反正天皇の時代とされるので約1600年前。現在の松原市におかれた反正天皇の柴籬(しばがき)宮で先帝の仁徳天皇を祀ったのをはじまりとし、その後、天王寺区の上本町へ遷座。現在地に移ったのは1583年とされている。

難波神社南鳥居

 淀屋橋から本町と来て、次の駅は心斎橋。この辺りはミナミの繁華街となるので、休日でも人出は多い。とくに御堂筋の西に位置するアメリカ村は、若者がひしめいている。そのため「人込みを避ける」という目的にはそぐわないが、そんな街にも神社はある。御津(みつ)宮だ。

御津宮正面鳥居

 創建には「仁徳天皇の時代に現在の天王寺区で建てられたものが遷された」「749年に東大寺の守護神として手向山八幡宮が宇佐八幡宮から勧請されたとき、はじめて上陸した地に祀られた」「860年の宇佐八幡宮から石清水八幡宮に遷座の際、上陸した地に祀った」など諸説がある。とはいえ、1000年以上の歴史がある古社であることに違いはない。

■完成が待ち遠しい高層ビルにおおわれた本堂

 神社の界隈は、かつて「難波津」と呼ばれた港であり、官船が多く出入りするために「御津」と敬称されたとか。ただ、中世には石清水八幡宮の領地として「三津寺荘」という荘園が存在し、その名の由来は近くにある三津寺だ。

改修工事前の三津寺本堂

 御津宮も三津八幡宮から改称されたといわれているので、もともとは三津寺の鎮護社だった可能性はある。

 三津寺の創建は744年。現在は2023年11月まで全面改修中で、完成すればホテルなどが収容される地上15階地下3階のビルで本堂がおおわれる予定。つまり高層ビルの中に本堂が立地する形となる。どのような姿を見せてくれるのか、楽しみではある。