■山の上の台所事情

台所にて。私、非常に不機嫌そうに見えますが、怒っているわけではありません!

 さて、お次は禁断の台所に足を踏み入れた。今はまだお邪魔します……の気持ちが大きい。

 まず目につくものは、大きな食器棚。えらい高いところに戸棚もある。食器棚には、湯呑み、どっしりとしたお茶碗、木目のお椀、素敵な平皿、どれもきれいに整頓されて収まっていた。鍋やフライパンは、ビニール袋にひとつひとつ丁寧に入れられている。真ん中には作業台。そして窓際には洗い場のシンクが並ぶ。

 2年間留守にしたとは思えないほど、きれいだ。去年は長雨だったし、休業していたよその山小屋では「そこらじゅうカビがすごかった」と聞いていたので、内心ヒヤヒヤしていたのだが、ちょっと安心。もちろんカビはあるけど、次回備品の整理をしながらお掃除しよう。

 台所は、私が1日の中で一番長く居るであろう場所。ゆっくりと見渡してこちらにもよろしく、と心の中で挨拶をした。

■よっしゃ、掃除するぞ!

雑巾掛けダッシュ。こりゃ、痩せそう

 引き継ぎ作業はまだまだ続くが、ちょっと時間をもらってお掃除を。美化清掃も小屋主の大事な仕事だ。

 宿泊棟の窓を全開にして新しい風を入れる。お掃除は上から順々に。柱の間のほこりを拭き掃除。太い柱、壁も忘れずに。最後は床。締めの土間掃除。おお、こんなに埃とゴミが取れた。次回は窓もやろうかな。

 トイレをきれいにしてから、小屋周辺を歩いてゴミ拾いをした。今年はずっと小屋に入っているわけではないから、上がってきた時にまとめてやらないと。つい欲張ってしまうけど、器用じゃないから一個ずつ確実に、と念じる。

 それにしても、思っていたより登山者で賑わっている。もっと静かな山だと思っていた。よかった、と同時にどうしたらみんなが快適に過ごせるかな、と考えてみる。

 果たして、わたしの光岳小屋はどんな形に仕上がっていくだろうか。みなさん、また来年も確認しに来てくれたらいいな。

週末イザルガ岳の朝。小屋からサンダルで駆ける