毎年恒例の餅つきをして、新しい年を迎えました。これまで、年末はバイトや山登りに明け暮れていましたが、今年はお家でのんびり。来年も頑張っていこう。

 さて、今は少々のんびりしている私ですが、今回はシーズン中の山小屋の休日についてお伝えしよう。

 山小屋によるけれど、休暇の頻度は、週休2日のところ、1か月に1回まとめて4日間の休暇があったり、予約状況を見て暇な時にまとめて1週間あったりとまちまちだ。あんまり忙しいと「1か月先まで休みないけどいい?」とオーナーから打診があったりする。休みの日は、山を下りてリフレッシュしてくる人もいれば、小屋でダラダラ過ごす人もいる。隣の小屋に遊びに行ったり(グループの小屋なんかは宿泊代がかからずに泊まれるところも)、休暇をフル活用して山登りに出かける人もいる。

 最近は定休日を設けている山小屋もあったり(とはいえ、お客さんのいないうちに小屋のメンテナンスをしたり、買い出しに麓に下りたりという話も聞くけれど)、喫茶営業はお休みの日があったり。とにもかくにも、貴重な休日は、みなさん充実した1日を過ごしているようだ。

■私の場合 休日の過ごし方

初めての北アルプス縦走は素晴らしいの一言! 遠くに目指す槍ヶ岳が見える

 初めて働いた鳳凰小屋時代を振り返ると、5日間の休暇を利用して、七倉ダムから槍ヶ岳を目指して縦走したことが忘れられない。中学登山で初めて登った唐松岳以来の北アルプス。しかも、初テントを背負っての縦走にチャレンジ。自ら決めた初めての山歩きだった。

紅葉も最高だった

 1日目は、前から泊まってみたかった船窪小屋へ。2日目は三俣山荘で働く友人に会いに行き、そこから槍ヶ岳を目指した。どこまでも長く続く稜線。山がこんなに大きく、空が広く、風が気持ちよいとは。山で出会った人たちが優しかったことも忘れられない。何度も何度も、両手をいっぱいに広げて空を仰いだ。

 目指す槍ヶ岳がずいぶん遠くに見えて、あそこまで辿り着けるのかとても不安だったけれど、私にはまだそこがどれだけ遠いのか、イメージすることができなかったから、とにかく歩き続けることができた(途中本当に辛い瞬間があって、じっと下を向いたけど)。鳳凰小屋では歩荷もしていたし、力仕事もあったので、気づけば私には“体力”という頼れる相棒がついていたのだ。

剱岳へはともちゃんと一緒に

 北アルプス・剱岳直下に建つ剣山荘では、「剱岳遠足」というイベントがあった。バイトも必ず特別休暇を与えられ、「剱岳まで行っといで〜」と送り出してくれるのだ。これは求人情報にも掲載されている事項。剱岳には登ってみたいけれど、高いところが苦手な私。こういう機会でもないと剱岳に登る機会はないな、と思っていた。出会ったばかりの同僚(のちに光岳小屋も手伝ってもらった)、ともちゃんに励まされながら、剱岳まで行ったのはいい思い出だ。

思い立って、ちょっくら甲斐駒ヶ岳へ

 次に働いた南アルプスのこもれび山荘では、よく晴れた休みの朝、「甲斐駒ヶ岳に行くか!」と思い立って、お弁当におにぎりを握って出発。まるで、ご近所に散歩に出かけるように身軽に山へと行けるのは、山小屋バイトの醍醐味だろう。途中、日陰があれば立ち止まり、花崗岩の綺麗な岩の間におさまってみたり、山頂だけではなく、太陽の下にいる時間そのものがとても気持ちよかったことを覚えている。

 街で暮らしていた頃は、山も山小屋も新鮮で非日常の世界だった。けれど、山小屋が生活圏になると、今度は街に行くことが非日常になる。よく「山小屋の生活に憧れます!」と言われるけれど、今の私は「街暮らし、憧れるな〜」と思ったりする。どこに軸足があるかが変わると、どこに楽しみを見出すかが変わって面白い。