■ランチ営業をはじめたい!

食べることに関してはいつだって真剣だ。南ア赤石岳で台風が過ぎるときを待つ

 私は食べることが好きな方だ。いや、結構好きだ。旅に出たときは、その土地のものが食べたいと思う。その町でスーパーを見つければついつい覗いて、まだ見ぬうまそうなものはないか、売り場を行ったり来たりする。

 山小屋での食事は、ホッとできて気持ちが温かくなる。そんなご飯を出したいな、と思っているのだが…

 思えば、山小屋に滞在中、日帰りの方が思っていたよりも多かったことに驚かされた。お隣の茶臼小屋を起点に光岳を目指してくる登山者もいるだろうから、お昼の休憩がてら富士山でも見ながら食事ができたらいいな、と思っているのだろう。よし、うちの小屋でもランチ営業をはじめよう。

■問題山積み。前途多難!

何だって外で食べるのは最高! 背負ってきたスイカを頬張る夏の終わり

 しかし、山小屋で立ち寄り用の食事を出すには、考慮せねばならぬ条件が想像するよりも多い。

 まず食材の問題。ヘリコプターの荷揚げは年1回なので、必然的に歩荷(荷を背負って運ぶこと)に頼ることになる。もちろん歩荷をまったくしないで山小屋を営業していくのは無理だけれど、シーズンが始まれば、そんなに頻繁に町には下りられない。登山口までの下山も遠いのだけれど、なによりそこから飯田市内のスーパーまで、車で2時間もかかるのだ。買い出しにはあまり行けないとなると、ランチ提供を積極的にするのは難しい(買い出しの方法も考えなくては……)。

 また、こちらの都合ではあるが、燃料の問題もあり、一日中発電機を回しているわけにはいかないため、レンジやトースターなど電化製品は使えない。また、事前に予約で数がわかる宿泊のお客様の夕食朝食と違って、注文数がまったく読めないこともネック。

「今日は晴れてるから◯食分用意するかなぁ〜」なんて呑気にやっていたら、小屋のスタッフは毎日残ったランチを食べないといけない。それどころか、到底食べきれなくて廃棄だって増えてしまう。足りなすぎるのも気になるけど、なにより余らせたくないのだ。

 とはいえ、食べることが好きな私、いろいろ夢を膨らませてみました。やっぱり山は温かいラーメンがあるといいよね〜、丼ものもいいし、山といえばカレー!  あと、お蕎麦やうどん、パスタも捨てがたい!

ここからは、私の思考のぐるぐるを一緒にご覧ください。