先日、静岡市民文化会館で2日間に渡って開催された「南アルプスユネスコエコパーク10周年記念大会」へ行ってきました。もうすぐ下山だという小屋閉め間近、山岳救助隊員でもあるマウンテンランナー・望月将吾さんがふらりと立ち寄ってくださり、そのご縁で今回初めての出店です。

静岡滞在は、スタッフ高橋くんも参戦。いつも通りの光岳小屋でした

 普段、山にいてはお会いできない皆さんや、山で出会った皆さんとの嬉しい再会もあって、欲張りな二日間でした。南限に住む雷鳥のことや、自然界からとれる酵母のお話しなどを聞くことができ、学びのある時間でもありました。バッタリ会ったお隣さん(茶臼小屋のお2人)と初めて夜の街で乾杯もできて、「長野から思い切って出てきてよかったな〜」と、じんわりあたたかい静岡滞在だったな。

 静岡は15℃もあったのに、長野に帰ったら1℃。鼻水が凍りそうです。

■光岳ってどうやっていくの? まずは登山口までが遠いのです。

さあさあ、ぐんぐん登ります。まずは目指せ面平

 標高2,592mの光岳は、長野県と静岡県の県境にある山。過去3年間の利用状況を見返してみると、光岳小屋に宿泊する方の8割は、長野県側から入山していることがわかった。ということで、まずは長野県側のルートを紹介します。

 登山口があるのは、長野県飯田市遠山郷と呼ばれる地域のさらに奥です。遠山郷は、長野県飯田市の南部、静岡県との県境に位置する、山と渓谷に囲まれた山村だ。神々が舞い降りる不思議の谷と言われていて、日本の秘境100選にも名を連ねている。

 そんな遠山郷から、さらに奥へと進んだ先に登山口となる芝沢ゲートがあります。ここまで中央自動車道の飯田ICから車で1時間半ちょっと。だけど、昨年の台風の影響で迂回が必要になているので、さらに20分ほど余分にかかります。高速を降りてなお、登山口まで2時間近くかかるなんて。ひえええ〜。公共交通機関でのアクセスはありません(往路のみ、毎日あるぺん号は竹橋から出ている)。ちなみに、都内から飯田ICまでは3時間半ほどかかります……。

 さて、これで終わりじゃありませんよ。芝沢ゲートから登り口となる易老渡(いろうど)登山口までは、さらに徒歩で1時間半ほどかかります。距離にして4.4km。以前は、芝沢ゲートから先の便ヶ島まで車で入れたけれど、現在、一般車両は通行不可。自転車も同様です。

■やっと登り始めますが、そこからも長いんです

写真は面平。いつもパワーをくれる場所

 さて、都内から7時間ほどかかって、ようやく登り始めることができます。

 易老渡登山口の標高は880m。ここから、標高2,354mの易老岳まではほぼ直登が続きます。光岳にくるのに何が必要かって、それは長く歩き続ける体力と気力。気合いが必要な山なのです。

 登り始めて1時間ほど、急坂の連続から森が開けて一息つける面平(めんだいら)では、サワラの巨木がお出迎え。さわさわ、そよそよと木が揺れる。そこからも、まだまだ登ります。道中は景色もなにもない、なんて言われがちだけど、森歩きの大好きな私にはたまりません。木漏れ日が優しい。時折、木々の隙間から笠松尾根、兎岳、でっかくておおらかな聖岳が見えます。

 汗だくでゼエハア言って、ようやく易老岳(いろうだけ)に到着します。ここまで5時間ほど、グッと標高を上げ続ける。「いろうだけじゃなくて、疲労だけだぞ」って、うまいこと言ったお客さんもいたくらい。

稜線上には、まるで盆栽のような木々がお出迎え

 そこから先は、まるで楽園を歩いているみたいなもんです。夏はシダが素晴らしいし、シラビソの立ち枯れが綺麗。もうすぐだ、もうすぐだって心も踊る稜線歩きが続きます。

 最後の沢沿いを少し登れば、静高平です。そうそうと流れる小川に耳を傾けて、その先の湧水で大休止。小屋までは、あと20分ほど。美味しいお水を汲んでラストスパート! 

小屋の少し手前に広がる亀甲状土

 その先には、氷河期から融解と凍結を繰り返してできた亀甲状土が広がります。氷河期からの時の流れが見られる場所。そして、日本庭園をお散歩しているような木道を歩けば、小屋に到着です。ここまで、登山口から約8時間。お疲れ様。