実家のりんご農園の仕事がひと段落したけど、あれやこれやと毎日に追われている。光岳小屋にオフシーズンはやってこない?! 今月は原稿に向き合っています。文章にすると気持ちの整理と気づきがあっていい時間。
今シーズンの小屋の準備も進めています。予約について問い合わせをいただきますが、毎年のことながら、こちら県営の小屋につき役場のGOサインが出ないとなにも言えないのです。春までお待ちくださいね。
■テカリのまかないを振り返る

ご存知の通り、私もスタッフ高橋くんも食べることが大好き。だからか、似たもの同士、といいますか、類は友を呼ぶといいますか、光岳にはよく食べて食事を楽しむ人たちが不思議と集まってくる。
シーズン中、登山者の皆さんからは「毎日、何を食べてるの?」と心配半分に聞かれるが、ご安心を! あれもこれもおいしかったな〜とお腹をぐーぐー控えめに鳴らしながら、今回は楽しいおいしい嬉しい「テカリのまかない」を振り返ってみよう。
■何を食べているの? 食材はどうしているの?

営業1年目は、自分たちの食事や寝床について考える余裕がなく、営業のことで頭がいっぱいだった。明日からお客さんがくるとなって、初めて「私たち、どこで寝よう?」となったくらい、自分たちの生活を後回しにしてしまっていた。結果、圧倒的なカルシウム不足で爪や髪の毛がボロボロになった。まかない用の食材も荷上げしてはいたけれど、きっとお客さんの食材が余るから、とあんまり深くは考えないでいた。2年目からは、常温長期保存の効く牛乳や豆乳を上げた。カルシウムが多いと聞いたスキムミルクや煮干しも。そしてテカリ生活も3年目に入り、小屋にいる4か月間の私たちの食生活はだいぶ改善されている。
今までアルバイトを経験してきた山小屋では、どこもしっかりご飯をいただけていた。お腹いっぱい食べさせてくれた小屋主の皆さんに感謝だ。天候に左右され、予定通りにいかないヘリの荷上げに合わせて食材の準備をするようになってからは、余計にありがたさを感じる。人数の多い山小屋は、発注も荷上げもテカリの比ではないだろう。

忙しい業務の合間にホッとひと息入れられる瞬間は食事だけではない。お茶(おやつ)の時間も重要だ。
実家のりんご農園を手伝っていてお茶の時間になると、父がいつもお茶請けボックスから「食べたいの選びな」って言ってくれたっけ。どれがいい? って、なんだか大事にしてもらっている気分になる。選べるっていいよな〜。剣山荘でのバイト時代には、自分で背負ってきたチョコレートがなくなって、主人のともさんが奥からチョコレートを出してこっそり渡してくれたことを思い出す。他の山小屋でもスタッフ用のお茶請けが用意されていて、常連のお客さんからの差し入れもみんなでありがたくいただいていた。
テカリも「4か月もコンビニに行けないって連載に書かれていたから」って地元の銘菓を背負ってきていただいたり、親戚が餅屋さんだという方からできたてのヨモギ饅頭をいただいたり。いただき物が町の空気を纏ってやってきて、山とは違うまた別の暮らしがあることを感じる。また午後も頑張るか、と気合いも入る。