霜月祭りの様子。神社の守り神宮天伯。睨みながら邪悪を切り払う

 12月は霜月祭りへ出かけてきました。霜月祭りとは、長野県飯田市遠山郷の湯立て神楽の祭り。地元では鎌倉時代から続いていると言われており、神も人も自然界の全てが生まれ、清まることを願う。

 お祭りの後は、私もまた頑張ろう、そんな前向きな気持ちになった。

■11月10日、4ヶ月過ごした山小屋をあとにする

さて、とうとう小屋をあとにします

 下山日。4ヶ月を山上で過ごし、やっとスタッフが元気に下山できる日。登山口に無事全員が着いた時、心の底から安堵した。ああ、よかったな。ホーっとする。

 そこで、「ああ、わたし、結構心配していたんだな」と初めて気がついた。事故や怪我には普段から気をつけていたけど、自分が思っていた以上に気がかりだったのだろう。山の上には救急車も病院もない。自力で山から下りられなければ、万が一の時には救助ヘリを呼ぶしかない。そんな環境だから、何事もなく本当によかった。1シーズンの営業を終えて疲れてはいるけれど、みんないい顔をしていた。

■いきなり、まさかのコロナ休業!

 振り返ってみると、初めての山小屋を開けたのが7月の半ば。この時期には、石灰岩でできた光岩の間で、ちっこくて可愛らしい青い花、ミヤマムラサキが咲く。夏になると、シダの森やハイマツの群落の緑が押し寄せる。賑やかなホシガラス。秋は寒さとともに、だんだんと色が変わる下草が綺麗だった。季節に負けじと駆け抜けたシーズンだった。

 大変だったのは、やっと営業がスタートして山もいよいよ夏らしく盛り上がってきた8月頭のこと。この山の一番良い季節に、私たちの山小屋はコロナで休業になった。

コロナ休業になる前の青空美容室。友人の美容師さんが小屋まで来てくれました

 あの頃は全国的に流行っていた時期だから仕方がないし、誰が悪いわけでもないんだ、とは頭ではわかっていても悔しい。昨日まで宿泊していたお客さんは大丈夫なのか、スタッフをコロナに感染させてしまったという、どうしようもない気持ち。休業の対応や今後の判断。熱でぼわりとした頭で保健所に連絡をしたり。スタッフが重症化したらどうしよう。もっとなにか対策できたんじゃないか……と後悔した。休業中の宿泊予定者には役場の方が連絡をしてくれた。

 ちなみに、今年の予約は川根本町役場でとってくれたので大助かりだった。土日祝日だって、日直さんが対応してくれた。宿泊された多くの方から丁寧なやりとりしてもらったと聞いた。いくら川根本町の管理する山小屋といっても、ここまで丁寧に対応し続けることは難しいことだろう。

 小屋内の電波は弱いし、営業しながら電話対応は今の人員だと不可能だ。本当に頭が下がる。川根本町と山にいる私たちが一緒になって、光岳小屋をよい場所にしていこうとする。すごいことだ。電話の先に顔のわかる皆さんがいることで、安心とパワーをもらった。