光岳最新情報です。
立春を過ぎ、空気が暖かくなったような。寒波の翌朝は水道が凍って丸二日溶けず……。そんな日も懐かしい。季節はあっという間ですね。
先日、光岳では落石による死亡事故がありました。山での事故、哀しいことです。気をつけていても起こる時はあるでしょう。どんな状況で起きたのか、現在詳細を確認中。
■家に帰るまでが登山。その手助けがしたい
今回は「食」のお話し。
山小屋を始めるにあたり、どんな食事を提供するかは一つの大きな課題でした。
光岳小屋では、ヘリの荷揚げは年に一回なので、豪華な食事を提供するのは難しい。でも、長い距離を歩いてやっと辿り着く山小屋だから、疲れ切った体でもスッとお腹に入って、ほっと満たされる夕食ってなんだろう?
そんな思いから、2022年シーズンの光岳小屋が一番大切にし、目指したサービスは「たくさん食べてゆっくり休んで、明日も元気に歩いてほしい」ということ。登山口までも遠い山だから、仕事を終えて長時間運転し、少しの仮眠で出発する方もいる。せめて小屋ではゆっくり休んで、翌日も元気にお家に帰るまでご安全に、と思ったのだ。
■食べ慣れた味が一番!
ほっとできる食事ってなんだろう?
最初に頭に浮かんだのは豚汁だった。豚汁って具だくさんだし、熱々のお汁は心も身体も温かくする。豚汁とおにぎりなんて最高の組み合わせじゃないか。
以前、2月に雪に閉ざされた白峰三山を縦走した時、夕食に味噌ベースの鍋を作って食べたことがあった。天気が悪く、とてつもなく寒かったけれど、テントの中で食べたあったかい鍋はほっとして美味しかったな〜。そんな状況で食べれば、温かいものならなんだって美味しいのかもしれないけど。
本当に疲れ切ってしまった時には、結局、食べ慣れたシンプルな味つけのものが食べやすいのではないかと思う。ご飯を食べると自然と体が温まるし、お腹が満たされればしっかり寝ることもできる。
翌朝はすっかり元気を取り戻し、また白銀の世界を歩く1日が始まったのだけれど、雲が風に乗って流された時に見えた景色はとんでもなく美しかった。「きれい」や「楽しい」と感じるためには、ちょっとの余裕、心に余白のようなスペースが必要なのだと思う。