■土佐堀通に面する意外な人物の石碑
ここで中之島線の紹介は終了だが、蔵屋敷跡などを求めて、さらに歩いてみる。
大阪府立国際会議場、愛称が「グランキューブ大阪」の角を曲がり、土佐堀橋を渡ると見えてくるのが「明治天皇聖躅(せいちょく)」の石碑。
聖躅とは「訪問地」という意味で、1868年の大阪行幸の際、明治天皇がこの場所に立ち寄られたことを示す。この明治天皇聖躅碑は中之島だけでなく、市内30か所に建てられたという。なお、中之島の明治天皇聖躅は元大阪上等裁判所(現大阪高等裁判所)の跡地でもある。
そのまま土佐堀通に出て土佐堀2交差点へ。すると、マンションの前に人物画像入りの説明版と石碑が立っていた。近くによって確認すると、「宮武外骨ゆかりの地」と記されている。
宮武外骨は明治時代に活躍したジャーナリストで、政治や行政を面白おかしく揶揄した「滑稽新聞」で名が知られている。80年代にはちょっとしたブームも起こっているので、サブカルに興味のある人なら一度は名を耳にしたことがあろう人物だ。
もともとは東京で活動していたが、後に大阪へ移ったという。大阪の方が権力に歯向かうのに適していたのだろう。
土佐堀通を少しだけ歩くとビルの角に「薩摩藩蔵屋敷跡」の石碑。
なにわ筋との交差点の植え込みの中には「長州藩蔵屋敷跡」のモニュメントが設けられている。
探せばまだまだ跡地の石碑はあるのだろうが、とりあえずこの辺りで歩みを止める。
■京都から大阪ベイエリアへ!
京阪中之島線は、当初想定されていたよりも利用客は少ないという。閑散とした駅の様子からも、そのことがうかがえる。ただ、将来に向けて新たな計画も浮上した。それが九条までの延伸計画だ。
中之島駅から九条まで路線を延ばし、大阪メトロ中央線と連絡。中央線は万博会場となる舞洲への延伸工事が進められている。中之島線の延伸は万博に間に合いそうにはないが、閉幕後に予定されている統合型リゾート施設(IR)へのアクセスとにはなる。また新大阪と関西国際空港を結ぶ、なにわ筋線とも中之島駅で接続するという。
京都から大阪ベイエリア、もしくは祇園や東山、伏見といった観光地から関空への利便性アップ! 京阪中之島線には、そんな期待が込められているのだ。