■マジックテープのヒントになった仕組み「オナモミ」

イガイガのオナモミたち。子どもの頃、河原のグラウンドで遊んでいてボールを取りに行った際に大量に付いたのを思い出します

 他にも「タウコギ」や「ミズヒキ」など、“ひっつき虫”の仲間は色々あります。その一つ、キク科の「オナモミ」。子どもの頃、学校帰りなど“道くさ”して友達同士で投げ合っていた思い出がある人もいるのではないでしょうか。

 実は在来種のオナモミは絶滅危惧種となっています。野外で見つける(くっついてくる)オナモミのほとんどは、外来種の「オオオナモミ」や「イガオナモミ(中間種もある)」などでしょう。

 こちらも“ひっつく”ための仕組みが興味深いです。棘をよく観察してみると、先端が鉤(かぎ)になっています。仲間であるゴボウがマジックテープのヒントになったと言われているのもうなづけます。

面ファスナーは野生のゴボウからヒントを得たと言われていますが、オナモミも同様の原理だとわかります(上写真:右側が面ファスナーのオス側で鉤状になっている。左側はループ状になっている。下写真:先端がカギ状になっているオナモミの棘)

 さらに「ヌスビトハギ」もよく“ひっつき”ますね。夏の終わりに可愛らしい花を咲かせた後、マメ科らしい実を付けます。ヌスビトハギの種類は色々ありますが、帰化植物である「アレチヌスビトハギ」も蔓延っています。センダングサやオナモミは比較的簡単に取れるが、このヌスビトハギは小さく薄いだけに取るのに手間がかかって、さらにイライラさせられる曲者です。

 “ひっつき虫”の世界も外来種が蔓延しています。(そうでなくても)デリケートな生態系を鑑みると、面倒でも衣服に付いた種子たちはその場で全て取り去ってしまうように心がけたいところ。ついでに言うと、アウトドアで使用する靴はソールのブロックも深く泥などに混ざって色々な種子・生物が付着していることがあります。帰路に着く前に綺麗するのがベスト。メンテナンスの意味も込めて、帰宅後は速やかに掃除してあげましょう。