暑かったり寒かったり……。4月は寒暖の差が激しいですね。出かける服装にも迷う毎日です。気づけば山々では新緑の季節を迎えています。トレッキングやキャンプ、渓流釣りなどで山や川沿いを歩くことが増えますね。ふと、どこからか漂ういい香り……。辺りを見渡すと山肌の緑に混ざって紫色の花があちらこちらに咲いているのに気づきます。

 それは藤の花かもしれません。どこか上品な和の芳香は、浮き足立つような気持ちにさせてくれます。漫画、アニメで大人気の『鬼滅の刃』では、鬼が嫌う花としても登場しますね。藤には毒の成分があるからでしょうか? 日光をふんだんに浴びていることや、人を明るい気持ちにさせてくれることもモチーフかもしれませんね。

 他にもこの季節に香る花はいろいろありますが、筆者の住む長野県北部の山あいで見かける、美しく香り高い3つの樹木をまとめてみました。

※暖かい地域ではもう咲いていますが、信州ではゴールデンウィークあたりからが見頃です。

■妖艶な見た目・甘くて香ばしい芳醇な香り! 藤の花

昨年5月、渓谷沿いの山の斜面に咲いていた藤の花

 “藤色”とい言えばイメージできる、紫色の代名詞でもある藤の花。つる性落葉植物で日本の固有種。公園や寺院などの藤棚に咲き誇っているので説明はいらないでしょう。ぎっしりと並んだ花が房状に垂れ下がっている様子は、どこか妖艶な雰囲気もあります。

 実は日本の里山にも至るところに自生しています。その香りは爽やかな甘さで、ジャスミンのよう。自然環境の藤の香りは藤棚のものより軽やかな印象でしょうか。日本人のDNAをくすぐるような甘く芳醇な香りと同時に、どこか香ばしいような匂いも含んでいるような気がします。

自然環境では花がまばらに咲いていることも多いが、それはそれで風情があります

 普段は目立たない木ですが、5〜6月に山歩きをしていると、美しい花と艶やかな香りで、こんなにも多く藤があるのかと感嘆するほどです。